介護老人保健施設 特別養護老人ホームとの違いは?…猛暑をしのぐために利用したケースも
「深掘り解説」社会保障
高齢者は、けがや病気で入院した時、治療が終わって退院したからといって、すぐに元通りに暮らせるとは限りません。体にマヒが残ったり、体力が落ちていたりするからです。自宅に帰る前に、「介護老人保健施設」(老健)を利用して、体調を整えることができます。 【図表】老健を利用する際の基本料金の目安
入所施設ですが、在宅生活の難しくなった人が暮らす特別養護老人ホーム(特養)とは異なり、主に在宅生活に戻ることを目指す人が、リハビリや医療的ケア、食事やトイレなどの介助を受けて過ごします。退院後だけではなく、「入院するほどではないが、体力が落ちて在宅生活の継続に不安がある」といった場合も利用できます。要介護1以上の人が対象です。 老健には、介護職員やリハビリの専門職のほかに、医師や看護師、薬剤師などの医療職が手厚く配置されています。このため、糖尿病治療のためのインスリン注射や、食事をとるのが難しい場合の経管栄養など医療的なケアが必要な人も、一定程度、受け入れてもらえます。
東京都町田市の老健「オネスティ南町田」の事務長、阿部正博さんは「様々な職種が協力し、利用者をサポートするのが特徴です」と言います。 オネスティ南町田では、リハビリに特に力を入れており、3種類の専門職がいます。立ったり、歩いたりなど運動のリハビリを指導する理学療法士、日常生活に必要な動作の訓練を担当する作業療法士、話したり、食べたりといった機能の回復を支える言語聴覚士――です。 自宅から日帰りでリハビリを受けられる「デイケア」や、短期的に入所する「ショートステイ」を併設しており、自宅に戻った後の暮らしも支えています。今夏は、一人暮らしの高齢者が、猛暑をしのぎ、体調を維持するために短期間利用したケースがあったといいます。 阿部さんは「在宅生活を幅広く支えることのできる施設だと知ってほしい。デイケアやショートステイを利用していれば、施設の雰囲気も体験できます」と話します。