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【#みんなの3年間】消えた春の甲子園…傷心書道部が涙し心の声聞き前へ

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日刊スポーツ

■全国総合文化祭がウェブ開催に変更も感謝

自治会(生徒会)で美化長を務める大橋乃々香さん(3年)は、同校書道部で唯一、全国高校総合文化祭(7月31日~10月31日、高知)への参加が決まっていた。だが、その開催方法も、ウェブ上での発表に切り替わった。休校期間中には狩谷さんからレターパックを用いて助言を受けながら、自宅近くの会館で作品を書き上げた。孤独な作業を重ね「感謝」が芽生えた。 「総文(総合文化祭)は私の憧れで『自治会の執行部をしながら絶対に出たい』と思っていました。高知に行けなくなって寂しいですが、運動部は大会自体がなくなっている。やっていただけるだけ、本当にありがたいです」 2年時の「書の甲子園」では127点の秀作賞に選ばれた。意欲は衰えない。 「受験もあるけれど、去年の結果より落ちたくないです。3日間でもいいので、集中して、書の甲子園の作品も書き上げたいです」

■現高3対象に主催者が来年の大会参加認可

書道部幹事の原愛実さん(3年)は、大阪桐蔭のプラカードの文字を担当していた。昨夏の甲子園準決勝を現地で観戦し、球児が1球に全力を尽くす姿を目に焼き付けていた。悔しさを経て、視線は前に向いた。 「センバツは本当に悔しかったです。だけど、運動部は総体がなくなって、そこで引退しています。私たちには、まだ秋にも『書の甲子園』のチャンスがある。去年は入選だったので、何とか賞を取りたいです」 さらには今夏の大会を中止とした「書道パフォーマンス甲子園」の主催者が、早くも現3年生を対象に来年の大会参加を認めた。「パフォーマンスリーダー」として志半ばだった石田さんの声は、自然と弾んだ。 「国際的なことを学べる大学に行きたいと思っています。もし留学とかとかぶらなければ、来年挑戦してみたい気持ちが強いです」

■複雑に絡み合う全ての思いを紙に書く作品

狩谷さんは休校期間中、誰もいない学校の靴箱で涙を流した。教え子たちの葛藤を知る先生が発した言葉は、温かく、優しかった。 「(来年)大学生になった彼女たちが、夜に集まって練習するのであれば、私も見ます」 大会に向けて準備していた作品のテーマは、旧字体の「声」だった。書体字典を開き、字を選び、旧字体にすることで「昔からの伝統を守る」といった思いを込めた。石田さんは言う。 「心にある声と、表に出す声が全然違う主人公がいる。モヤモヤとした心の声と、外に出ていく声…。その全てが混ざり合った思いを、紙に書く作品でした」 コロナは運動部のみならず、文化部の目標も奪った。この作品の主人公のように、今も生徒の心には複雑な「声」が宿っている。それでも明日はやってくる。どんな選択であれ、自分の意思で踏み出した1歩は、限りなく尊い。【松本航】

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