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<佐賀豪雨1年>パン屋再開「待ってたよ」 常連客ら続々と 大町町

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佐賀新聞

 昨年8月末の佐賀豪雨で浸水し、休店していた杵島郡大町町の「手造りパン工房 トミー」が、被災からちょうど1年がたった28日、営業を再開した。一度は閉店も考えた店主の古賀和孝さん(47)を支えたのは「またトミーのパンが食べたい」という励ましだった。移転してちょっと小さくなった店には、早朝から常連さんらが次々に来店、待ちわびた卵サンドやピロシキを買い求めた。  午前6時に開店した。40年来のファンという同町の香月重政さん(65)は「食べ続けてきたから頭の中に味がインプットされてる」と近所の人の分まで買い込み、「再開は町民を勇気付けてくれる」と喜んだ。店には次々に懐かしい顔がやって来た。古賀さんの妻友子さん(46)は「『待っとったよ』と言われると、とろけてしまいそう」と笑った。  昨年8月28日、古賀さんはJR大町駅横にあった店にいた。午前4時ごろから入り始めた水は一度は引いたが、昼ごろにくるぶし、夕方には腰まで来た。オーブンやミキサーなど機器類が次々に水に漬かっていった。1人ではどうしようもなかった。  母愛子さん(77)から受け継いで10年やってきた店は泥にまみれた。機器も冷蔵庫以外はだめになった。「辞めてしまうか」。1カ月ほど、そう思うこともあった。ただ、町で出会うお客さんは「あのサンドイッチ食べたか」「待っとるよ」。心は再開に傾いた。  移転地探しなど、再開には時間がかかった。町所有の大町情報プラザでの再開が決まり、国の補助を受けるため、慣れない申請書を書き続けた。6種類の機器の購入費や店の改装費など借り入れは2千万円を超えた。古賀さんは「一から出直しだった。商工会や役場など多くの人に本当にお世話になった」と感謝する。  新しい機器を使い始めて1週間もない中での開店になった。自慢のサンドイッチに欠かせない地元農家のキュウリは、豪雨被害で栽培を休んでいて確保できない。不安もあった再出発だったが「メロンパンの膨らみが足らないけど、まあいい感じ」と少しホッとした様子を見せ、「これからですね。お客さんと会えるのが楽しみ」と笑顔になった。(小野靖久)

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