授業中に「立ち歩く子」大人が知っておきたい傾向
精神科医として30年以上、発達障害の診療と研究に携わってきた本田秀夫氏の最新刊『マンガでわかる 発達障害の子どもたち』(マンガ・フクチマミ)。同書では「発達障害」、なかでも「自閉スペクトラム」の特性がある子どもたちへの対応法について解説しています。 【マンガ】その傾向、もしかしたら自閉スペクトラム症かも 2つの事例を前・後編としてマンガで紹介しながら、今回は「苦手なことでも“少しずつ”の方針はうまくいかない」という逆説的な子育て論をお届けしていきます。
■自閉スペクトラム症とは? 「発達障害」にはいくつか種類があって、大きくは次の3つです。 ①自閉スペクトラム症(ASD) ②注意欠如・多動症(ADHD) ③学習障害(LD) 今回は、なかでも①自閉スペクトラム症(ASD)について取り上げていきます。 なぜなら、「自閉スペクトラム」の主な特性には、 ・臨機応変な対人関係が苦手 ・こだわりが強い という傾向があり、コミュニケーションがとりわけ理解されづらく、「普通わかるでしょ?」というのが、わからないタイプの子たちだからです。
しかし、「臨機応変な対人関係が苦手」「こだわりが強い」という特性は、一般的なお子さんのなかにも持ち合わせている子はいると思います。 「特性」があるからといって、すなわち「障害」とはならないため、私は「障害(Disorder)」を除いて、「自閉スペクトラム(AS)」、「注意欠如・多動(ADH)」と呼んだりもします(本コラムでも「自閉スペクトラム」と呼称していきます)。 子どもはしばしば、不可解な行動をとります。特に発達障害がある子の場合、独特の言動をすることが多いので、保護者や学校の先生が戸惑いを感じることもあるでしょう。
次に2つのマンガで例を挙げて、お子さんの心理をふまえながら、大人がどのような対応をすると子どもが落ち着いて、それ以上の問題が起こりにくくなるのかをアドバイスしていきたいと思います。 ■【マンガ1】学校での生活にいつまでたっても慣れない 子どものこだわりについて、定着してしまったら困ることは、本当は最初からやらせないほうがいいのです。 これは、自閉スペクトラムの特性がある子のこだわり全般に言えることです。自閉スペクトラムの子の生活は、最初が肝心なのです。