早田ひなの復帰戦は「120点」 伊藤美誠を撃破の20歳など、WTTファイナルズ福岡で見えた日本女子卓球の現状
第4ゲームは7-11で失い、セットカウント1-3で4強入りを逃したが、「ラリーの強化は毎日やっているので、そこが自分のプレーの安定性につながっている」と、現状について分析。王芸迪相手にもラリー勝負では互角に渡り合えると、この試合でも証明した。 「3球目のドライブやブロックで自分の方がまだミスが多いので、そういうところは相手よりまだ土台がない」 そう今後の課題を口にした16歳は、世界トップに向けてまい進する。 【伊藤を撃破。躍進する20歳の大藤】 今季の日本女子で"最大の成長株"として参戦した大藤はベスト8に入り、インパクトを残した。1回戦での伊藤との試合では、キレのある動きで立ちはだかった伊藤を前に堂々たる戦いを披露。第1ゲームこそ奪われたものの、中陣に下げられても打ち負けない強烈なバックハンドやフットワークのよさ、カウンターなどで4学年上の伊藤に立ち向かい、セットカウント3ー1で逆転勝利した。 今年の全日本選手権で、平野にセットカウント0-4で敗れたのを機に「守から攻へ」とスタイルチェンジを図った大藤。今季の国際大会での活躍で、4月時点で125位だった世界ランクを日本勢では早田、張本に次ぐ8位まで上昇させている。 「今の女子選手ではバックを強く振る選手が少ないので、そこは自分の魅力かなと思います」と語った20歳が、早田、伊藤、平野といった黄金世代や次世代のエース候補の張本と並び、日本女子の争いに割って入った。 今大会では、パリ五輪以来の復帰となった早田や、大舞台を多く踏みスケールアップした張本、躍進が目立つ大藤などが盛り上げ、分厚い選手層を誇る日本女子の現在地を図る機会にもなった。来年1月には全日本選手権、同5月には世界卓球の個人戦などが控え、2028年のロス五輪に向けた新たな戦いも始まっていくなか、日本女子のハイレベルな戦いが続く。 (男子編>>)
井本佳孝●取材・文 text by Imoto Yoshitaka