早田ひなの復帰戦は「120点」 伊藤美誠を撃破の20歳など、WTTファイナルズ福岡で見えた日本女子卓球の現状
続く第4ゲームを失って初戦敗退となったものの、「練習してきたことを出すことが目標だった」と大会前の見立てを明かし、自身の評価については「120点」と採点。「今日の負けは全然悔いはない。みなさんの前でプレーできたことが良かった」と、凱旋試合としてコートに立てたことに安堵感を示した。 早田がパリ五輪を経験した2024年を経て向かうのは、次への進化。ラリー時のバックハンドで新たな技術を取り入れて復帰戦で試すなど、「バックからフォアハンドにつなげて得点することができた」と、スッチ戦でも成果が出たことを好意的に受け止めている。 今後の大会への本格復帰については「決まっていない」という早田だが、「パリ五輪の自分は忘れて、生まれ変わってまた新たな自分として、ひとつひとつ戦っていきたい。4年後に"本物"になれるように精一杯自分と向き合っていく」とロサンゼルス五輪を目指して力強く前を向いた。 【中国に対する「怖さ」がなくなった張本】 昨年に続いての出場となった張本は、大会前時点で世界ランキング6位。10月のアジア選手権では団体戦決勝で中国2選手を下して金メダル獲得の立役者になった。その後の国際大会でも安定した成績を残していた16歳には、上位進出や優勝争いも期待された。 張本は1回戦でベテランのサウスポー、田志希(韓国/世界ランキング16位)をセットカウント3ー1で退けて好スタート。昨年は世界女王の孫穎莎(中国/同1位)にフルゲームで敗れ、初戦で姿を消していたが、世界卓球やパリ五輪などで経験を重ね、たくましさを増した。 そんな張本の前に、準々決勝で立ちはだかったのが王芸迪(中国/同3位)。今季は多くの大会で激闘を繰り広げてきた。直近の「WTTチャンピオンズフランクフルト」ではセットカウント2ー4で敗れた相手に、張本は第1ゲーム序盤を支配されて8ー11で奪われると、第2ゲームは9ー6とリードしながら王芸迪の手堅いラリーやエッジボールもあり、デュースの末に12ー14で失い王手をかけられた。 それでも、今年の大きな大会で中国勢と試合を重ねた張本は、「対戦する回数が多くなった分、以前はメンタル的に『嫌だな』とか『怖い』という気持ちが大きかったですが、最近は気持ちの面で怖さはなくなった」と語ったように、怯む様子は見られなかった。第3ゲームでは6-6からストレートにバックハンドを沈め、10-10からは強気のフォアでポイントを奪いゲームを取り切った。