中国で女子サッカーへの注目高まる 現場の各チームは資金難に苦しむ
【東方新報】中国サッカー協会(CFA)の陳戌源(Chen Shuyuan)会長は、2020年のスーパーリーグ(プロ1部リーグ)の視聴者数は前年比31%増の延べ20億人に達したと発表。女子スーパーリーグの視聴者数は1021万人で、前年比379%増になった。男子サッカーに比べれば視聴者数自体は少ないが、女子サッカーの伸び率は高い。ただ、注目が集まる一方、各チームは資金難に直面している。 中国の女子サッカーは、アジアカップでは初参加の1986年から1999年まで7連覇を達成したアジアの強豪。1991年に国際サッカー連盟(FIFA)女子ワールドカップ(W杯)を自国で開催しベスト8となり、1999年W杯では準優勝となった。 中国では卓球などと並びサッカー人気が高く、男子のスーパーリーグでは熱狂的サポーターの激しい応援も知られる。一方、女子の国内リーグは1992年から始まったが、国際舞台での活躍にもかかわらず注目度は低く、女子サッカー市場は広がりに欠けた。人気を高めるため、1997年にスーパーリーグと名称を変更。南北に地区を分割したり、トーナメント方式を取り入れたりしている。 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった2020年、中国サッカーは他のスポーツ同様、試合数や観客の制限、徹底したPCR検査などを受けながら試合を開催。男子、女子ともに全試合が生中継されており、長期間の「ステイホーム」を強いられたサッカーファンが女子スーパーリーグにも関心を寄せ、視聴者が大幅に増えたとみられる。 その一方で、チームの現場は資金難に直面している。2016年に誕生した北京北控鳳凰は、2020年のファーストステージで10チーム中3位と躍進し、上位4チームによるセカンドステージ出場を果たした。結果は4位に終わったが、悲願の優勝を目指し練習に励む中、スポンサーから「2021年以降は出資しない」と通告を受けた。補強資金が底をつけば、主力選手の流出という事態が考えられる。于允(Yu Yun)ヘッドコーチは「今のところ選手に同様はなく、チーム一丸となってこの難関を乗り越えたい」としつつ、「選手がより良い選択をする場合は止められない」と打ち明ける。ただ、北京北控鳳凰に限らず、他の有力チームでも資金不足の問題が起きている。 チーム環境が長年にわたり改善されない中国女子サッカー界では、2020年東京五輪での活躍を期待する声もあった。中国女子サッカー代表は2016年リオデジャネイロ五輪でベスト8の成績を収めた。日本の「なでしこジャパン」が2011年W杯に優勝して国内リーグへの注目度が高まったように、同じ東アジアで開催される東京大会で躍進すれば、スーパーリーグの人気浮揚にもつながるという考えだ。しかしその東京五輪は1年延期され、今年の開催もまだ不透明。中国女子サッカー界は状況の打開を図る決定力不足に悩んでいる。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。