この世には「ペット探偵」という不思議な仕事がある。
「ペット探偵」という仕事をご存知ですか? 迷子になったペットたちを探す専門の「探偵」です。 【写真】ネコは液体であると証明する14枚の写真 依頼は、イヌやネコをはじめ、インコやウサギ、時にはモモンガやトカゲ、昆虫まで。 探偵たちにとっては、住宅街も山奥も「事件現場」。時には灼熱の太陽に焼かれながら、時には寒さに凍えながら、飼い主さんの思いと祈りを背負って大事な家族を探します。 「ペットレスキュー」代表の藤原博史さんも、日本で数少ないペット探偵の一人。 「引っ越しの翌日に兄妹ネコが消えた」 「買い物から戻ったらヨークシャー・テリアがこつ然といなくなっていて…」 「東日本大震災で離れ離れになってしまったイヌともう一度再会したい」 全国各地から毎日のように寄せられる依頼はさまざまです。 ペット探偵って一体どんな仕事なの? 『210日ぶりに帰ってきた奇跡のネコ―ペット探偵の奮闘記―』(新潮社)を上梓した藤原さんに、聞き慣れないこの仕事の実態、聞いてきました。
富士山でネコちゃんが迷子に
――今日は、依頼は大丈夫ですか? ええと、絶賛お待たせしています。この取材が終わったら向かいます(笑)。 ――なんと、すみません! この瞬間にも迷子の飼い主さんが! いえいえ、毎日ですから。問い合わせの電話は毎日途切れずありますからね。だいたい1日3~4件……多いと10件くらいでしょうか。 昨日は富士山でネコが迷子になってしまって、という電話がありましたよ。 ――ふ、富士山? どういう状況ですか? 車で連れていったらしく、トイレをさせるためにちょっと降ろしたら、パッと山の中にいなくなっちゃったそうです。早めに探した方がよさそうなので、うちのもう一人のスタッフが今日現地に向かいました。 ――真冬の山中ってだけでどう考えても探すのが大変そうですね……。 そうなんです、山はちょっと大変なんですよね~。聞き込みにも限界がありますし、特にこの季節ですし。うまくトラップに引っかかってくれるといいのですが。 ――家からいなくなった! ではなく出先でというケースもあるんですね。 もちろん一番多いのは依頼者の自宅ですけどね。家族でキャンプに出かけた山奥、なんてケースもたまにありますよ。 僕もつい最近、兵庫の竹林に――これはご自宅が隣接していたんですけど――入りました。ネコが野生動物の作ったこの洞窟のような巣穴に入り込んじゃっていて。排水管工事に使うような細いカメラを入れて穴の中を探しました。 ――そんなものまで使うんですね! まさかネコ探しに使われるとは想定されていないのでは。 この子は1ヶ月くらい竹林の中で行方不明だったそうで、見つかった時は脱水症状になっていてガリガリでした。あと少し遅ければ命に関わっていたかも……。見つけられてよかったです。 ――しょうもない質問ですが、やっぱり「ちゅ~る」はすごいんですか? <できるだけ早く保護するのがいいですから、私もスペシャルな餌を捕獲器に仕掛けていました。数粒入りの小分けになっているカリカリに、大人気の「チャオ ちゅ~る」をかけ、さらにまたたびの粉をまぶしたもの。いわば“三種盛り”で、ネコにはものすごく良い香りがするのでしょう、ここ最近はこれで一発で入ってくれるのです。> 「ちゅ~る」は本当にすごいです! どのネコも大好き。何かヤバいものが入ってるのかな?って思っちゃうくらいすごいです。「ちゅ~る」のおかげで捕獲できたネコ、冗談じゃなく結構いますよ(笑)。