琴桜と豊昇龍、史上6度目の横綱同時昇進なるか 山内委員長「もっと生まれるくらいのスケールの大きな夢を見たい」【大相撲】
横審は相撲協会から横綱に昇進させたい意向の力士を「諮問」されて初めて、「品格、力量抜群。大関で2場所連続優勝か、それに準じる成績」との内規に沿って審議を行う機関。妥当と判断すれば推薦の「答申」を出す。1950年に当時の羽黒山、東富士、照国の3横綱が初場所でいずれも途中休場したことが発端で、発足した。 成績不振や素行不良、休場が続いている現役の横綱へは、「激励」「注意」「引退勧告」の順で決議を出す場合もある。過去には朝青龍に引退勧告、白鵬と鶴竜には注意を出したことがあり、外国出身力士へは日本出身力士よりも厳しい決議を出すと言われてきた。だが、今年1月の初場所と7月の名古屋場所では優勝したものの、現在2場所連続、在位20場所で12度目の休場をしている照ノ富士に対しては温情がある。山内委員長は、「若い力士の台頭を見て、次の場所は土俵に復帰することを期待している。(決議は)考えていない」と静観する構えだ。 協会側は、明確な綱とりとなる琴桜はもちろんだが、豊昇龍に対しても高田川審判部長(元関脇安芸乃島)が「(来場所は)いい相撲をとってもらえれば、おのずと夢に近づく」と昇進の可能性を示している。過去の横綱の2人同時昇進は5例。1909年の優勝制度制定以降では、安芸ノ海、照国(新横綱は43年春場所)、柏戸、大鵬(同61年九州場所)、玉の海、北の富士(同70年春場所)がある。もし、来年に琴桜、豊昇龍がそろって綱をつかめば、6例目になる。 現在、横審委員の任期は2年で、5期10年まで。山内委員長は来年の初場所後の定例会で任期満了、横審を退く。その意味では委員長としても横綱を作るラストチャンスと言える。 「新横綱誕生は協会、横審、ファンの念願。そうなる夢を見たい」。希望通り「初夢」の達成となるか、それとも鬼に笑われるか。そこにスピード昇進で大関まで駆け上がってきた大の里が、追いかける立場になってどう絡んでくるのか。三つ巴の争いになれば、土俵は間違いなく面白くなる。
初場所は来年1月12日に東京・国技館で初日を迎える。 (竹園隆浩/スポーツライター)※写真は左から豊昇龍、琴桜、大の里
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