みずほ銀行が覚悟する融資要請の“第2波"
新型コロナウイルスの感染が再拡大し、一度は落ち着いた企業の資金繰りに再び火がつく可能性が高まりつつある。企業の支援要請に銀行はどのように対応するのか。みずほ銀行の藤原弘治頭取に聞いた。 この記事の写真を見る ■事業継続のアドバイスも重要に ――足元では、新型コロナウイルスの感染が再拡大しています。 ここまでは、官民を挙げて資金繰り支援に対応してきた半年間だった。みずほも資金繰り支援にあたり、ピークの2020年6月時点で1万6000件、金額にすると17兆円の融資を受け付けた。足元で実行済み・実行予定の金額では、コミットメントラインの枠設定も含め11兆円にのぼる。
これによって、大企業は2021年度通期あるいは上半期までの目線で資金繰りの手当てが終わってきていると考えている。一方、中小企業にはばらつきがある。中小企業の手元現金は月額売上額の1.9倍くらい。2020年末から2021年3月末にかけて、融資の“第2波”が来る可能性がある。 銀行はこれまで進めてきた政策保有株式の削減によって、資本に余裕ができている(リスクをとった融資ができる)。この余力を劣後ローンなどにシフトし、ビジネスの共創をしていきたい。資本性資金の調達で、大企業は社債発行などの際の格付けを維持できる。
ここまではとにかく資金提供だったが、事業継続のアドバイスも必要だ。例えば、事業承継。日本の中堅中小企業が360万社あるが、そのうち127万社には後継者がいない。 コロナ禍は経営者にとって、自分の会社をどうするか考える機会になった。半年を経て、事業の承継をしたり、どこかに(事業を)売却したりといった次のステップを企業にどうするかなどをアドバイスすることも大事だ。 ――銀行が企業に提供するものは融資だけではなくなってくると。
そうだ。行員には能動的に提案活動をするように伝えている。顧客からの相談を待つのではなく、まずは対話する。顧客との接点はコロナ禍でかなり増えてきた。 私自身もトップ対話を増やしている。電話やメールも含めて、平時の2倍くらいの接点を持った。トップの人は経営課題を考える際、社員に相談できず、孤独だ。そこで銀行(の首脳)が相談にのる。 共通して顧客が言うのは、「潜在的な課題が顕在化した」ということ。課題解決に当たり、銀行、信託、証券をはじめ、さまざまな機能を持っているグループ力の見せどころだ。