「一緒に死のう」92歳寝たきり母を殺害 残された最後のメモ 繰り返される介護殺人
■認知症の母と借金生活の息子
困窮する経済状況の中で、高齢家族の介護から殺害に至った例は過去にもあります。 元被告男性 「もうお金もない。もう生きられへんのやで。これで終わりやで」 元被告男性の母 「そうか、あかんか」 元被告男性 「すまんな、すまんな」 2006年、京都市伏見区で当時50代の息子が認知症を患う86歳の母を殺害した事件。その背景にあったのも、経済的な困窮でした。 息子は母を介護するため、休職しました。失業保険をもらっていましたが、そのお金もすぐに尽きてしまい、借金を重ねる生活に…。 元被告男性 「もうお金もない。もう生きられへんのやで」 ついに追い込まれ、認知症の母親を殺害しました。その結果、懲役2年6カ月、執行猶予3年の判決が言い渡されました。 この事件では、京都地裁の裁判官が判決を言い渡した後に、「日本の生活保護行政の在り方が問われていると言っても過言ではなく、この事件を通じて何らかの変化があるかと思う」と付け加えました。 しかし、その後も親族などによる介護の末の殺害は後をたちません。
■介護支援が届かず 残された最後のメモ
介護をしていた息子による母親の殺害。経済的に追い込まれた時、誰かに助けを求めることは出来ないのでしょうか。 淑徳大学 結城康博教授 「地域包括支援センターとかに相談に行ったり、家族介護者の集いに参加したり、その情報を得ることがあれば、このような悲惨な事件に陥ってないのではないか」 今回の事件、前原被告は周りに頼れなかったのでしょうか。 前原被告 「(父は介護を)手伝ってくれなかった」 弁護側 「お兄さんがいますね」 前原被告 「はい。11歳離れています」 弁護側 「相談した?」 前原被告 「入院費用や介護について相談しました」 弁護側 「反応は?」 前原被告 「そういうことは母の弟、おじに相談したほうがいいと」 弁護側 「援助は?」 前原被告 「そういうことは一切なかった」 弁護側 「兄は何をしている?」 前原被告 「国家公務員です。財務省です」 誰にも頼れず一人で介護をしていた前原被告。事件当日、前原被告がスマートフォンに残したメモには「生きる苦しみ限界、母を送ります。母を残して死ぬことはできませんでした。これから私も死にます」と記されていました。