罰則規定を必要最小限に留めているスピード感の無さと不十分さ ~経済安全保障推進法案
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。小林経済安全保障担当大臣が「経済安全保障推進法案を2月下旬に国会に提出する」と述べたというニュースについて解説した。
経済安全保障推進法案 ~2月下旬に国会提出へ
小林鷹之経済安全保障担当大臣は2月1日の記者会見で、「経済安全保障推進法案を2月下旬に国会に提出する」と話した。法案は半導体などのサプライチェーンの強化、基幹インフラの安全性の確保、官民の技術協力、特許の非公開制度の4項目が柱となる。 飯田)2月下旬ということになると、予算が衆議院を通過したあとに審議が始まることになります。どうご覧になりますか? 須田)経済安全保障関連で言うと、仕組みが着々と整備されて来ました。経済安全保障の中心になって来るのは、サイバーセキュリティ分野なのだろうと思います。デジタル庁が立ち上がり、組織、機能を見ると、「マイナンバーカードを推進しましょう」とか、「国・自治体と民間とのデジタル化を推進しましょう」というのはサイドの話なのです。 須田)柱としては、サイバーセキュリティの部局が大きな柱になっているのです。これをどう維持して行くのか。サイバーセキュリティについては、単純にハッキングや情報漏洩の問題だけではなく、半導体も含めて国産のものを推進して行きましょうという仕組みができた。担当大臣はいますけれども、デジタル庁のトップは総理大臣だということを忘れないでいただきたいのです。 飯田)トップは総理だと。 須田)その一方で、政策面の推進ですが、サイバーセキュリティ分野に特化する形で犯罪行為が起きた場合、どういう形で立件するのか。これは抑止の部分です。それについては、警察庁は行政組織なのだけれども、そのなかに専門部隊を設けることが決まった。これが車の両輪となるわけです。 飯田)そうですね。 須田)ただ、実効性を持たせるための武器が与えられていないということで、法律面を整備して、罰則規定を設けようということになった。本来ならば、情報漏洩やハッキングの分野の他、サイバー攻撃に対応しなければならないのですが、場合によってはスパイ防止法的な、官民にまたがるような法律が必要です。しかし、そうなると国会で大揉めに揉めて、官邸前デモが起こりかねない状況になります。 飯田)「日本が警察国家になってしまう!」というように。 須田)そうさせないためにも、最初は必要最小限のところから始めて行く。ただ、スピードが間に合うかどうかということが心配です。 飯田)国会の審議などではセキュリティクリアランス、適格性をどう評価するのかという話が出て来るのですが、政府側もそこに対して踏み込まないですよね。 須田)反発も予想されるし、罰則規定を設けるという話が出て来たときに、朝日新聞は1面トップで、どちらかと言うとネガティブな論調で報道しました。こういう動きに対して、参議院選挙を控えている以上、慎重に対応しているのだろうと思います。今国会で何とか対決法案にさせないためにも、必要最小限に留めている。このスピード感のなさ、あるいは不十分さが将来、大きな禍根を残すことにならなければいいと思います。