「PTA会長歴任で培ったスキルを活かして」二児のママで入門を果たした落語家・三遊亭あら馬「下っ端は喋るな」10代の先輩に頭を下げて
■落語は「想像芸」 ── 落語を教育に取り入れる活動とは、具体的にどのようなものですか。 あら馬さん:小学5年生の国語の教科書に落語の単元があるのに、多くの子どもたちは実際に落語を見たことがないので、そもそも落語のイメージが頭に浮かばない。実際に触れることで生の落語を聞いて、体験することで将来への職業の選択肢も増えるし、知識も増える。全国の小中学校のみならず小規模校、鹿児島の離島まで訪問して落語教室をしているんです。
こうした活動を続けるなかで、落語が子どもたちに与える影響の大きさを実感しました。たとえば、私の下の娘は落語のおかげで国語力が伸びて、高校で学年1位になったこともあるんです。特別支援学級の子どもたちが「あら馬さんに弟子入りしたい」と、落語を学びに来て学習発表会で披露してくれたときは嬉しかったですね。 ── 落語が子どもたちの想像力に与える影響は大きいんですね。 あら馬さん:そうなんです。今の子どもたちは、YouTubeや映像で情報を得るのに慣れていますよね。スマホで何でもすぐに見られる時代なので。でもそれって想像力を妨げてしまうと思うんです。落語は「想像芸」。言葉だけで自分で場面をイメージする必要があります。この力は、視覚情報に頼りがちな今の時代だからこそ大切だと思うんですよね。
── 家庭で落語を楽しむコツはありますか? あら馬さん:ぜひ寄席に足を運んでほしいです。テレビやラジオだけでは実感が湧かないからおもしろさが伝わらない。生で見れば落語家の表情やその場の空気感を感じられて子どもたちの反応が全然違うんですよ。AKBが「会いに行けるアイドル」で人気が出たのと同じだと思いますね。 ── やはり生で見ることがいいんですね。 あら馬さん:そうですね。学校寄席で伺うと真面目な学校さんで、最初に先生が「静かに聞きなさい」「黙って聞きなさい」と言うんです。でも、落語は笑ってもらわないと困るんですよ。そんな時は開口いちばん私が下ネタを言って子どもたちを大爆笑させます。普段、大人がそんな言葉づかいするの見たことないでしょ(笑)。