「PTA会長歴任で培ったスキルを活かして」二児のママで入門を果たした落語家・三遊亭あら馬「下っ端は喋るな」10代の先輩に頭を下げて
■PTA会長で身についたスキル ── PTAではどのような活動をされていたんですか? あら馬さん:小学校で3回、中学校で1回、PTA会長を務めました。さらに杉並区の小学校PTA連合協議会の会長まで引き受けることになって。42校もの小学校の意見をまとめ上げる大役でしたね。保護者の代表として行政とのやりとりも多かったです。 ── 具体的にはどんな活動をされていたのでしょうか? あら馬さん:たとえば、各校の周年行事への列席、特別支援学級の設置や新しい学童の新設に関して保護者の意見の吸い上げ、また、保護者代表として、区議とともに区の予算要望や緑地化計画への提言などもしました。連合会長は区の長と同席することが多い責任のある仕事でしたね。
いろんな保護者の方たちがいるじゃないですか。子どもに対する思いが人それぞれ違うのでいろんな意見が出てくる。たとえば、給食のことだけでも「牛乳は牛の乳だから人間が飲むもんじゃない」「ご飯に合うのはお茶だ」と主張する方もいて。みんな自分の子どもにとって最善のことを考えているので、一つひとつの意見に耳を傾けないとならない。 そこでも「黙って聞く」ということ、そのうえで理解しようとする姿勢が、落語の修行でも役立ったのだと思いますね。
── PTAの会長を務めるうえで大変だったことは? あら馬さん:PTA会長になった初年度は本当に苦労しました(笑)。当時はLINEに全員入っていない時代だったので、PTAのメンバー内ではメールのやりとりが中心だったんです。でも、メールだと文章が淡々としているので誤解を招きやすい。結局、直接会って表情を見ながら会議をしたほうがコミュニケーションは取りやすい。会議は今より多かったですけど、意思疎通は図りやすかったかもしれませんね。
また、PTA活動をしていると不平等さを感じることが多かったんです。たとえば専業主婦にだけ業務の負担が集中するような状況があって。それでいて兼業主婦に当たりが強かったり。親同士のいじめみたいな感じというか…。それってよくないなと。だから、私が会長のときは業務は平等にしようと足かけ5年、規約改正委員会を立ち上げて変えました。まあ「昔はよかった」と語る世代からの賛否両論はありますけど。 下の娘が高校生になった今もPTA活動はしていますが、ボランティアで読み聞かせを9年、娘たちが卒業した今も小中学校で落語をしています。実は落語は子どもの情操教育にもすごくいいんですよ。