棟方志功連携本格始動へ 青森県美と富山・南砺市立美術館、共通DBなど検討
青森市出身の世界的板画家棟方志功(1903~75年)の業績を顕彰するため、2023年に同市の県立美術館と連携の覚書を取り交わした富山県南砺(なんと)市の市立福光美術館の学芸員2人が4~6日、青森市を訪れ、県美の棟方志功展示室などを見学した。最終日は県美の池田亨美術統括監らと意見交換し、両美術館が所蔵する棟方作品の共通データベースの構築を検討することなどを申し合わせた。 南砺市福光は棟方が戦時中に疎開した地域で、現在も市民レベルで顕彰活動が盛ん。福光美術館は1994年の開館以来棟方作品の収集を続けており、福光の伝承をテーマにした「瞞着(だまし)川(がわ)板画巻(はんがかん)」など貴重なコレクションを収蔵する。 県美との具体的な連携の動きは覚書を取り交わして以来初めてで、福光美術館の高島裕さん(57)と川邉紫音さん(31)が青森市を訪問。滞在中は県美の棟方志功展示室をはじめ、三内霊園の墓や酸ケ湯温泉などゆかりの地を、福光で棟方関連資料の研究を続ける孫の石井頼子さん(68)の案内で巡った。 池田美術統括監との意見交換には、石井さんらも参加。(1)それぞれの所蔵資料を体系的に把握するため、共通データベースを構築(2)本県と富山県で異なる民俗や宗教性を互いに学び合うことで作品への理解を深める(3)年1回のペースで学芸員が相互訪問する-など連携の具体像を話し合った。 池田美術統括監は「双方の風土が棟方作品に与えた影響について情報交換しながら連携を進めていければ」と説明。高島さんは「青森という土地の気に心を動かされた。豊かな棟方像を提示するきっかけにしたい」、川邉さんは「土地柄の違いを感じることができたのは良かった」と振り返った。