禁止薬物使用で出場停止、日本や韓国に活躍の場を移した選手も…イチロー引退試合に出場したマリナーズの仲間たちの「その後」
もうあの日から2年が経とうとしている。2019年3月21日、日米通算で4367本ものヒットを積み上げたイチロー(マリナーズ)が東京ドームでのアスレティックス戦を最後に現役を引退することを表明した。ショート前へのゴロが間一髪アウトになった現役最終打席、途中交代を告げられベンチに戻った際の悲鳴にも似た大歓声、深夜にまで及んだ記者会見……。「あの日」に起きた出来事を、まるで昨日のように覚えているファンは少なくないに違いない。 【動画】フィールドに永遠の別れを告げるイチロー。号泣する雄星の姿も注目 ところで、現役ラストゲームのマリナーズのスターティング・ラインナップは以下のようなものだった。 (二) D・ゴードン (中) M・ハニガー (一) J・ブルース (指) E・エンカーナシオン (右) D・サンタナ (捕) O・ナルバエス (遊) T・ベッカム (三) R・ヒーリー (右) イチロー (投) 菊池雄星 実は、この日が記念すべきメジャー初マウンドだった菊池も含めた10人のうち、今もマリナーズのユニフォームを着ているのは2人だけ(菊池とハニガー)。たった2年間で、当時の主力選手は大半がいなくなってしまった。 最初にチームを去ったのは3番を打っていた長距離砲のブルース。日本開幕シリーズからわずか2ヵ月半後の6月2日にフィリーズへトレードされた。さらにその2週間後、今度は4番のエンカーナシオンもヤンキースへ去った。 イチローの愛弟子で、引退試合では人目をはばからず涙を流す姿が印象的だったゴードン(昨年から母親の旧姓も登録名に入れて「ストレンジ=ゴードンとなった)は昨季限りでマリナーズとの契約が満了。マイナー契約で秋山翔吾が所属するレッズに加わった。
開幕戦で満塁本塁打を放ったサンタナはヤクルトへ入団
サンタナはイチローの引退試合の前日、3月20日の開幕戦で3回に逆転満塁弾。振り遅れたようなスウィングながら、強引に右翼スタンドまで持っていった一発を覚えているファンも多いだろう。この年は121試合で打率.253、21本塁打を記録したが、オフに事実上の戦力外となり、インディアンスを経て今季からヤクルトでプレーする。コロナ禍で来日が遅れているが、狭い神宮球場との相性は良さそうで、活躍が期待される。 同じく開幕戦で本塁打を含む3安打3打点と活躍したベッカムは、19年の8月に禁止薬物使用が発覚し、80試合の出場停止処分。それもあって昨年は浪人生活を続け、今季はホワイトソックスとマイナー契約を交わした。 21日の試合で5打数2安打2打点を記録したヒーリーは、その後は腰痛に苦しみ、昨季もメジャー出場わずか4試合のみ。今季からKBOのハンファ・イーグルスに加入した。ナルバエスもマリナーズ在籍はわずか1年で、19年オフにブルワーズへトレード。ただ、こちらはサンタナやヒーリーとは違い、今もレギュラーとして活躍を続けている。 当時のマリナーズはちょうど再建期に入った段階で、さらにジェリー・ディポートGMは球界きってのトレード好きとして知られている。それでも、わずか2年でここまで選手が入れ替わるとは、改めてMLBの選手の入れ替わりの激しさを印象付ける。ちなみに、対戦相手のアスレティックスはスタメン野手9人+先発投手のうち、5人が今もチームに在籍している。 構成●SLUGGER編集部