森友学園問題で注目、財務省理財局とは? 坂東太郎のよく分かる時事用語
売却先にふさわしいかを審査
売却は公での使用を優先し、地方自治体などからの要望を優先して3か月間受け付けます。手を上げた団体があれば、全国10か所にある財務局(財務支局)の審査を2か月間受けます。出先機関だけで手に余る事態などが発生すれば、理財局の国有財産業務課国有財産審理室と情報交換しながら審理していきます。売却または貸し付けの相手にふさわしいと決まれば、有効期限2年以内で契約を結びます。 公の組織から要望がなければ一般競争入札がなされ、一番高い値をつけた者が買います。買い手がなかなか見つからない場合は維持管理費などがもったいないので、一時貸し付けや事業用定期借地といった一時的な活用も検討されます。一般競争入札で売れ残った財産も対象になります。 折からの財政難で、国は未利用ではないけれど不必要な土地は売却する方針です。例えば中央府省の幹部はかつて、東京23区や道府県所在地に豪勢な一戸建ての「官舎」に住んでいましたが、今ではなくなりつつある風景です。 東京・赤坂の防衛庁檜町駐屯地跡は複合施設「東京ミッドタウン」に、品川の内閣法制局長官公邸跡地はマンションの「ザ・パークハウス 池田山」へと変貌しました。中野の警察大学校跡地はオフィスビルや大学が集う「中野四季の都市」としてにぎわっています。 学校法人の例としては東京外国語大学が府中市の米軍調布基地跡に移転したケースがあります。
「随意契約」で払い下げ
森友学園は「随意契約」で国有地を買い取りました。国が選んだ相手と契約する方式です。 会計法は国有財産などの売却を「公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない」としています。つまり原則は競争入札なのです。随意契約だとどうしても癒着が起きやすいのと、不当に安い価格での売却が国民の資産を損ねるためです。渦中の近畿財務局もウェブサイトで「未利用国有地については公用・公共用の用途に利用するために地方公共団体等に直接売却する場合を除き、一般競争入札によらず特定の企業や個人に対し売却(随意契約)することはありませんのでご注意ください」と「注意喚起」しています。ちょっと驚きですね。 一方で、会計法は「政令の定めるところにより」との条件で随意契約を認めています。「予算決算及び会計令」です。 政令とは国会で定められた法律の規定を実施するために内閣(要するに府省の官僚)が制定したルールです。具体的な手続きを示したり、場合によっては罰則も設けられます。1つの国会で作る法律はかなりの量で、細かいところまで書き込んでいたら大変。そこでこうした制度を用いて実施する行政に具体化を依頼します。ただし国民の権利や義務に影響を与えるような場合は特に慎重な検討が求められます。 森友学園のケースは「公共随意契約」と呼ばれ、公の目的で買い取りを希望する学校法人を財務局が選んで金額を決めました。