ロシアはNATOへの限定核攻撃可能性明示すべき、タカ派研究者が提言
Mark Trevelyan [ロンドン 12日 ロイター] - ロシアのタカ派的な外交防衛問題研究者、セルゲイ・カラガノフ氏は、地元紙コメルサントのインタビューで「ウクライナにおける北大西洋条約機構(NATO)の侵略を支援する」いかなる国に対しても核兵器を使用することを、ロシアは明確に意思表示するべきだと述べた。 カラガノフ氏は、ロシアが全面核戦争を引き起こさずにNATO加盟国に限定的な核攻撃を加えることは可能だと主張。米国が同盟国に「核の傘」を提供しているというのは虚構だと付け加えた。 ロシアの核ドクトリンについてカラガノフ氏は「現在および将来の敵全てにロシアが核兵器を使う用意があると確信させること」が主な目標だと説明した。その上で、ウクライナがロシア西部クルスク州に越境攻撃を開始して数週間が経過している状況を踏まえて「ロシア領への大規模攻撃に核で反撃する権利があると宣言する時期だ」と言い切った。 カラガノフ氏の意見はロシアの公式な政策ではないが、政府は同氏が重要なフォーラムで何度も発言したり、プーチン大統領に提言したりするのを許している。 このため西側の安全保障専門家が、ロシアの外交安保政策や核戦略を検討する際のカラガノフ氏の発言に対する注目度は高い。 ロシアの現在の核ドクトリンは、ある国からの核攻撃ないしロシア国家の存続を脅かすほどの通常兵器による攻撃に対して核兵器を使う準備があるとしている。 ただカラガノフ氏は1年以上前からドクトリンの修正を求め、政府も修正を明言した。 同氏は今のドクトリンがロシアの敵対勢力を十分に抑止できず、ロシアの核兵器を使用する機会は乏しいとの認識を生み出していると指摘し、こうした想定を変化させて抑止力を再構築しなければ、ロシアは破滅すると警告した。 今回のインタビューで全面核戦争を確実に防止する方法を聞かれたカラガノフ氏は「限定的な核兵器使用が必ずアルマゲドン(最終戦争)に至るという主張は批判に耐えられない。全ての核兵器大国は特定のシナリオの下で段階的に使用する計画を持ち合わせているのは間違いない」と語った。