あなたのリーダーシップ・ブランドとは?
自分自身の信頼性を高めるには、自分のキャリアの指針となってきた価値観と、周囲の人に受け入れてもらいたい価値観を明確にした方がいい。 キャリアの早い段階で、私たちはエレベーターに乗り合わせた時の短い会話の重要性を学ぶ。それができると、自分にとって重要な人物とたまたま出会って、「何に今取り組んでいるのですか?」とか、「ここで何の仕事をしているんですか?」と聞かれたときに簡潔・明瞭に答えられる。また、投資家の前で説明をする起業家にとっては、簡潔なセールストークも必須のスキルだ。魅力的なアイディアを短い言葉で表現できなければならないからだ。 しかしながら、シニアリーダーのコンサルティングを行っていると、エグゼクティブが見落としがちなエレベーター・トークがあることに気づく。それは、「あなたはどのようなリーダーですか?」「あなたのリーダーシップ・スタイルについて私たちが知っておくべきことは何ですか?」という問いに対する答えだ。それに対する思慮深い答えを用意しておくことは、昇進のきっかけになるかもしれない。しかしそれ以上に重要なのは、自分のリーダーシップ・スタイルを明確にすることは、チームメンバーとの信頼関係を築くことに繋がるのだ。それはあなたのリーダーシップのブランドを築くことだと捉えて欲しい。自分が何に立脚しているのか、つまり、リーダーとしての行動指針となる価値観、また、あなたが周囲に何を期待しているかということを認識することである。 リーダーたちは、このような問いに対して、何も答えを持っていないわけではない。「サーバント・リーダーシップ」を支持していると言う人もいるし、成果主義であるとか、優秀で誠実であることを重要視しているリーダーもいる。 そして、その答えは間違ってはいない。ただ、あまりにも一般的で上位概念の表現を使っており、周囲が彼らに期待できる行動という意味では、何も具体的なものが示されていないのである。企業のミッションやパーパスを示す言葉は、「世界をより良い場所にする」というような決まり文句が定番となっていて批判の対象になりやすいが、それでは受け取る側の気持ちは高揚しない。(技術系スタートアップ企業を風刺したHBOの「シリコンバレー」シリーズを参考にしてみて欲しい。)