教育系ユーチューブ、上手に付き合おう 無料で楽しく歯切れ良く…でも大切なのは「自ら学ぶ姿勢」
教育系のユーチューブ番組を見て勉強する子どもが増えている。暗記方法を楽しく教えてくれたり、難問を解くこつを伝授してくれたり…。授業料が必要な塾に対し、無料なのも魅力だ。一方、画面を眺めているだけで勉強した気分になるという落とし穴もある。広島ゆかりのユーチューバー2人は「長所と短所を知った上で活用を」と強調する。 <画像>教育系ユーチューブを使った成績アップ術 教育系ユーチューブで人気を集めるのは、塾講師経験者による歯切れの良い解説や、勉強への心構えを説く内容だ。タレントによる愉快な動画もよく再生されている。 広島市内の難関校、ノートルダム清心中1年の茶谷灯(あかり)さん(13)=中区=は中学受験の際、苦手な歴史でユーチューブを活用した。学校や塾の勉強では「○年に△△が起きた」という史実は分かっても、歴史の大きな流れはつかみにくかった。 そこで、歴史を楽しく解説するアニメを視聴。「人物の関係をつかみ、大きな流れを知ることができた」と振り返る。 広島県立広島高2年の田中愛奈さん(16)=同=は昨年、元塾講師の葉一(はいち)さんの人気動画シリーズ「とある男が授業をしてみた」を熱心に見た。葉一さんが問題を解く過程を詳しく教えてくれるのがお気に入りだった。「難しい部分は静止し、よく分かっている部分は倍速にできるのがいい」と魅力を語る。 電通メディアイノベーションラボ(東京)の昨年6月のウェブ調査では、首都圏と関西圏の計5大学に通う学生533人のうち男性の30・4%、女性の42・4%が受験時に「ユーチューブ動画、勉強ユーチューバーの動画」を見ていた。 効果的に活用するにはどうすればいいのか。広島市東区の広島桜が丘高副校長の桐原琢(たくま)さん(25)は、難関大の受験生向けのチャンネル「PASSLABO(パスラボ)」を運営するユーチューバーでもある。分野は日本史や現代文。登録者数は約32万人いる。 桐原さんが重要と考えるのは「自ら積極的に学ぼうという姿勢」だ。よそ見をしたり、ぼんやりしたりしても注意してくれる人はいない。振り返りのテストはなく、保護者が授業料を払ってくれているというプレッシャーもない。「何となく番組を見るだけでは成績は上がらない。机について実際に自分の頭と手を動かし、画面の問題を解くのが大切」と話す。
中国新聞社