「1000店舗→491店舗」「理由は店主の高齢化」と最盛期から半減のやきとり大吉。反転攻勢の秘策は“白い大吉”だった!
■赤と白のいいとこどりをした「新・赤大吉」も さらに2024年8月には、赤い大吉のニューモデル「新・赤大吉」も平和台に誕生した。こちらは、白い大吉の中が見える良さを取り入れた、赤い大吉のテスト店として造られたものだ。 今後赤い大吉が改装していく際に、白い大吉のいいところを取り入れたらどうなるのか。そのイメージを明確にすることを目的に造ったのだという。 ロゴも刷新し、看板に隙間なく筆文字で入った従来のものではなく、軽めの筆文字で隙間も作った。「大吉」というロゴが「重たい感じがする」という声がアンケートにあったからだ。
新・赤大吉の売り上げは非常に好調で、今後赤い大吉を造る際には、このタイプになる予定とのこと。従来の店の店主に、改装を促す役割も担っていくという。 ■経営の教科書・大吉でも直面する高い壁 取材前、筆者は近所の大吉に家族で足を運んだ。そこには、おそらく約40年前と変わらぬ店主と顧客の語らいがあり、焼台から上がる香ばしい煙と共に、この業態の本質を物語っていた。 大吉が今直面する課題と挑戦は、日本の外食産業全体が抱える問題の縮図とも言えるだろう。生業主義の強みを活かしながら、店主の若返りや新業態の開発に注力し、鳥貴族と融合して新たな一歩を踏み出す。そんな大吉の多面的な戦略は、難問を打破する新たな可能性を示していくに違いない。
前編はこちら:鳥貴族が買収「謎の焼鳥チェーン」人情派な儲け方 赤と黒の看板の「やきとり大吉」は“経営の教科書”だ
笹間 聖子 :フリーライター・編集者