「1000店舗→491店舗」「理由は店主の高齢化」と最盛期から半減のやきとり大吉。反転攻勢の秘策は“白い大吉”だった!
しかし、2年働けばリース形式のまま親元に帰れるエリア指定リースならば、参入のハードルが低くなる。実際、すでに利用している店主もいるそうだ。 他方、店主と共に高齢化する顧客の若返りも図っている。そのなかでも象徴的なのが、2022年9月に登場した、リブランディング店舗「白い大吉」だ。 白い大吉は、その名の通り白と木目が基調となった明るい店で、窓から店内が見えやすい造りになっている。暖簾や提灯は白地に黒、シンプルな書体で「やきとり」「大吉」などの文字が入っている。これまでの大吉とはイメージが大きく異なる店舗だ。
このような店を作るに至ったのは、2021年、全国1万人に「大吉は世の中のお客様からどう見られているのか」というアンケートをとった結果を反映してのことだ。その結果、大吉の認知度は全国で非常に高かったそうだが、「入ったことがあるか」と聞くと極端にスコアが下がったそうだ。 さらに、「知っているけど行ったことない」人も多く、その原因で一番多かったのが、「中が見えにくい」「どんな店主がいてどんな雰囲気で、どんな席構成なのかが見えにくく、入りづらい」だったという。
「大吉の店主はよく『3回来た人は絶対常連にする』と自信満々に言うのですが、その最初のハードルが高いことが分かりました。そこで、最初の一歩を踏み入れてもらう店を開発したんです」(近藤社長) 白い大吉は現在、東京、神奈川、大阪、兵庫に9店舗あり、事業を検証するため、客層、客数、ABC分析などデータを取って検証中だ。現状、赤い大吉に訪れる顧客の女性比率が2、3割なのに対して、白い大吉は5割が女性。20代も取り込めているという。
また、白い大吉はメニューも「若者や女性に受けるものを」と、赤い大吉の焼鳥に加えて、ガリ・しそ・トマトを甘酢で味付けした「ガリしそトマト」など一品物を置いている。これらのメニューは、客の反応が良ければ赤い大吉へも随時移植しているそうだ。 「大吉には直営店がなく、テストキッチンもないので、これまで商品テストができませんでした。白い大吉はその役割も果たしてくれています」(近藤社長) 赤い大吉の店主からは、当初「こんなメニュー作れるかな」と不安の声もあったそうだが、顧客の好評を受けて、「これからもいいメニューがあったらうちにも回してね」とよく言われるのだとか。今後については白い大吉のデータを見定め、赤と白のすみ分けを考えていく構え。ただ、店主との会話から、すでに白と赤の大吉を回遊する客も出てきているそうで、幸先は明るい。