「1000店舗→491店舗」「理由は店主の高齢化」と最盛期から半減のやきとり大吉。反転攻勢の秘策は“白い大吉”だった!
■生業主義とスケールメリットの融合へ向けて 2024年9月の取材時で、同グループになってから1年8カ月が経過した鳥貴族と大吉。まずは協力の一歩目ということで、焼鳥の串を共通化し、コストダウンする取り組みが始まっているそうだ。また、鳥貴族には店舗開発部があり、大吉にはないため、商圏調査や物件情報の入手ノウハウをもらうこともあるという。 けれど、それ以外については、どのようにスケールメリットを生み出し、アイデアの交換をしていくのか、まだ模索中とのこと。2ブランドは同じ焼鳥中心の業態だが、さまざまな点で違いもあるからだ。たとえば、鳥貴族の顧客は20~40代中心で、大吉は30代後半~60、70代中心。鳥貴族は、駅からの徒歩圏内や繁華街に店が多く、地下や空中階の店が多い。大吉は、住宅街の1階路面店だ。
さらに、鳥貴族は全651軒のうち400軒超が直営で、残り200軒超がFC店だ。FCに加盟するのは個人ではなくFC運営企業で、複数店舗を経営している。これに対し、大吉は全店個人FC店だ。広さも、鳥貴族は大吉の倍以上あり、そのためFCの初期投資額は重くなる。 店舗スタイルも運営形式も企業文化も違うのだから、一朝一夕に協業するのは難題だろう。しかし、そんな状況を打破するべく2024年7月、まずは東京と大阪のオフィスが合併された。鳥貴族も大吉もトリキバーガーも、グループ社員がワンフロアに顔を揃え、フリーアドレスで働く環境となったそうだ。
「毎日顔を合わせることで、シナジーが起きるのではというワクワク感があります。共同の販促キャンペーンをはじめ、さまざまなプロジェクトを始めようという話も進めています」と近藤社長。しかし一方で、商材やマーケティングについては議論を重ねていく必要がある、と慎重だ。 ■創業からの信念「仕入業者は大吉の宝だ」 近藤社長が慎重になる理由の1つに、あるポスターの存在がある。1978年3月、1号店のときから唯一、店内の壁に貼り続けているポスターだ。そこには、「仕入業者は大吉の宝だ。お客様と同じように感謝の気持で接しましょう」と書かれている。