享和3年創業の老舗「鶴屋吉信」の職人技が見られる贅沢カウンター「菓遊茶屋」(京都・今出川)で和菓子の魅力を知ろう
四季がある日本の「花鳥風月」を感じられる和菓子の世界
続きまして、もう一つの「綾錦(あやにしき)」を作ってもらいます。いわゆる「きんとん」と呼ばれるお菓子です。中は、あんこの甘さを感じられる粒あん。3色に染めた、少し水分多めの白あんを外につけていくとのことです。「これはあっという間にできます。白あんを網に通して、落としていきますね」本当にあっという間に、3色の白あんが粒状に。丸めた粒あんにつけていきます。「この粒状にしたあんは、すごく柔らかいです。だから乗せる時はふわ~っと、箸の形がつかないように乗せていきます。潰れてしまったら綺麗じゃなくなりますから」綾錦の「綾」は織物という意味。織物(着物)で表現するような紅葉をイメージした和菓子なのだとか。鶴屋吉信 本店がある「西陣」にちなんで、織物に関する和菓子も多く取り揃えているそうです。今の季節は秋らしく紅葉カラーですが、夏には紫陽花をイメージした青紫のきんとんになるなど、バリエーションも豊か。また最近は「ハロウィン」「クリスマス」といった海外由来のイベントにちなんだ和菓子も積極的に取り入れているそうです。「昔からある伝統行事で食べてきたお菓子も大切にしつつ、新しいものもやっています。だけど基本の技法は変わりませんから、お菓子屋の素材と我々職人の技量で、何ができるかというのを模索しています」鶴屋吉信が大切にしているのは「自然をできるだけ、ありのままに表現する」ということ。新しい考えやイベントを取り入れながらも「花鳥風月」そのものが持つ美しさや魅力を素直に感じとり、お菓子に落とし込んでゆくのが信条だそうです。お店に入る前から、一貫して季節感を堪能させてもらえる和菓子店「鶴屋吉信」。売り場の皆さんもとっても親しみがあり優しいので、肩肘はらずにぜひ気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか? ちなみに、和菓子を食べる時にルールやマナーはあるのでしょうか? と気になり尋ねたところ「自由に楽しんでいいんですよ」と水江さん。ただ、作り手としては断面は見てほしい、とのこと。食べやすいように半分か、4分割にして食べるのがおすすめです。「菓遊茶屋(かゆうぢゃや)」で作られるものは、店頭の生菓子コーナーでも販売されていることが多いです。もちろんすべて職人さんの手作業で作られています。長きに渡って伝えられてきた職人さんの技術、和菓子の魅力を再確認できますよ。 About Shop 鶴屋吉信 本店「菓遊茶屋(かゆうぢゃや)」 京都府京都市上京区今出川通堀川西入る 営業時間:10:00~17:30(1階店舗は9:00~18:00)※11:20~12:30の間はお昼休みのため実演はなし 定休日:水曜日
ウフ。編集部 あかざしょうこ