享和3年創業の老舗「鶴屋吉信」の職人技が見られる贅沢カウンター「菓遊茶屋」(京都・今出川)で和菓子の魅力を知ろう
「菓遊茶屋(かゆうぢゃや)」は、職人さんの技術が間近でみられるライブキッチン!
それでは早速「菓遊茶屋(かゆうぢゃや)」で和菓子を作ってもらいます! 作ってくれるのは、この道43年目という和菓子職人・水江さん。メニューは「お煎茶セット」「お抹茶セット」の2つがあり、セット内容の和菓子は2種類のどちらかを選びます。ちなみに取材した11月上旬は朱色や黄色のきんとんを紅葉した山に見立てた「綾錦(あやにしき)」と、桃色の菊を表現した「御園菊(みそのぎく)」。和菓子の種類は季節によって異なります。まずは「御園菊(みそのぎく)」から作ってもらいます。白いこしあんを「こなし」と言われる生地で包みます。「こなしは、白のこしあんをすごく硬く炊いて、小麦ともち粉をほんの少し入れて、それを蒸して揉んで練り上げたものです。その語源は『作業をこなす』『仕事をこなす』とか…そういうとこからです」と、2色のこなしを重ねながら和菓子に関する豆知識を流暢に解説する水江さん。あっという間に綺麗な丸になっていました。今の時代、包あん作業も機械で可能になりましたが、色の異なる生地を重ねて包あんするのは、やはり職人の手作業でしかできません。途中で生地が破れてしまったり、表面にしわができてしまったりするからだそうです。では、そもそも白と赤を混ぜて桃色の生地を作ればいいのでは…? と思いましたが、重ねてうっすらと桃色にする理由がちゃんとあるんです。それは後々分かるのでお楽しみに! 次の工程が最大の見せ場! 真ん中を凹ませたら、ヘラを巧みに操り、菊の花模様を描いていきます。なんと一筆書き。12~16枚の花を描いていくそうです。何枚にするにしても、花の幅は均一に保つ必要があります。静止画ではなかなか伝わらない凄さでした続いて小さな棒を取り出し、花を開いていく作業。そうすることによって重ねた赤と白の生地がグラデーションになり、より自然に近い色合いになるんだとか。わざわざ生地を重ねるのは、和菓子に大切な「自然を表現する」のに必要なんですね。最後に、黄色の餡を網で押し込みます。指でギュ。一瞬です箸でそっと飾りますこれで「御園菊(みそのぎく)」の完成です。「御園」とは京都御所のこと。そこに咲く高貴な菊を模して作られているのだとか。京都御所にも近いこの「鶴屋吉信」本店でぜひ食べてほしい逸品です。できたては「こなし」の生地がよりもっちりしています!