堅守から効率よく得点を重ねた鹿本が、熊本工を下してベスト4進出
えがお健康スタジアムで行われた「令和2年度県下高校サッカー大会」準々決勝の第2試合は、ルーテル学院に競り勝った熊本工と、熊本商を下し勝ち上がった鹿本の公立勢同士の対戦。ゲーム全体を通じては熊本工がボールを握って優位に運ぶ展開となったが、堅守ベースにシンプルな攻撃を展開した鹿本が機を逃さず得点を重ね、4強入りを果たした。 【フォトギャラリー】準々決勝 熊本工 vs 鹿本 ゲームが動いたのは立ち上がり7分。熊本工が押し気味に進める中、奪ったボールを少ないタッチで相手の背後のスペースへ配球して攻める鹿本は、FWの藤本和太琉が自ら仕掛けて得たPKを決め先制に成功。 早々に追う格好となった熊本工は、キャプテンのMF福田悠介と林野恵太郎がボールに絡みながら丁寧に前に運ぼうと組み立てを試みるが、鹿本はこの2人にマンマーク気味にアプローチをかけて出どころを抑え、後方からのフィードに対してはセンターバック2枚がトップの山口真央を挟む形でケアし、熊本工の攻撃をフィニッシュまで持ち込ませない。 19分、右サイド深い位置からのロングスローを藤本がすらしたボールがそのままゴールマウスに吸い込まれてリードを広げた鹿本はさらに33分、スルーパスに抜け出したMF藤原丈汰が決め、前半だけで3-0とした。 熊本工は後半、メンバー交代とともにシステムを変更して前に人数をかけたことでバイタルに侵入する回数を増やすと、53分、ボックス外やや左寄りでフリーキックを獲得。福田が直接狙ったキックは鹿本GK川口絢聖が触れたがゴールとなり、1点を返す。 その後も熊本工がボールを握って攻める時間が続く中、鹿本はシンプルな判断でリスクを回避し続け追加点を許さず、このままタイムアップ。ベスト4進出を決めた。 「攻撃ではまず背後を見ることと、サイドからのクロスを意識していますが、技術的には他のチームに劣ると思うので、1人1人がしっかり守備をすること、それぞれがやるべきことを徹底して、周りの選手がミスをしても助け合いながらやろうと伝えてきました。今日は相手の中盤にマンマークをつけたように、相手のストロングな部分を消しながら、自分たちの強みを出すことでここまできて、ベスト4は選手たちにとっても自信につながると思います。ただ、これで勘違いしてはいけないので、ピッチ外でも置き換えて伝えているように考えながらプレーすることを追求して、鹿本の復活と進化につなげていきたい」と、大津高校での勤務を経て今年度から赴任した同校OBの古閑健士監督。準決勝では熊本国府と対戦するが、ベスト4の壁を突破して新しい歴史を作れるか、注目だ。 (文・写真=井芹貴志)