６月１８日（現地時間）、米国ワシントンＤＣのコンサルティング企業「Ｅｖｅｒｃｏｒｅ　ＩＳＩ」事務室で行われた討論会に出席した韓国の呂翰九（ヨ・ハング）元通商交渉本部長。キム・ヒョング記者

韓米自由貿易協定（ＦＴＡ）再改正交渉に参加したトランプ政権時期の元官僚がトランプ前米国大統領が当選した場合、韓国との貿易関係を再検討するだろうと話した。 元米通商代表部（ＵＳＴＲ）代表代行のスティーブン・ボーン氏は２５日（現地時間）、ワシントンＤＣのジョージ・ワシントン大学韓国学研究所が開催した学術行事で「米国は実質的な経済的困難に直面している」とし「彼（トランプ）が政策を履行するために非常に努力するだろうと察する」と話した。今回の大統領選挙でトランプ前大統領はすべての商品に１０～２０％関税を課す「普遍的関税」を経済公約に掲げている。 ボーン氏は２０１７年韓米ＦＴＡ再協議当時、ＵＳＴＲに在職してトランプ政権第１期の通商政策を主導した。ボーン氏はトランプ氏が再選に成功した場合、財務長官として有力なロバート・ライトハイザー元ＵＳＴＲ代表の側近にも挙げられている。 ボーン氏はトランプ氏が過去の演説でした話を実行に移したと強調して「彼（トランプ）が話す言葉を非常に真剣に受け止めなければならない」と話した。実際、２０１６年大統領選挙期間、ペンシルベニアの遊説演説でトランプ氏は韓米ＦＴＡを「雇用キラー」と批判し、就任後はＦＴＡの改正に着手した。当時言及した環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）廃棄と北米自由貿易協定（ＮＡＦＴＡ）再協議も実現した。 ◇韓米ＦＴＡ再改正第２ラウンド？　「対米投資」　ｖｓ　「黒字増える」 この日の行事には韓国の呂翰九（ヨ・ハング）元通商交渉本部長も出席した。呂氏は２０１７～１８年韓米ＦＴＡ再改正交渉当時、駐米大使館商務官を務めて交渉に関与した。 呂氏はこの日の行事で「最近数年間、半導体や電気自動車（ＥＶ）、バッテリーなど新産業分野で米国の製造業とサプライチェーン再建に韓国企業が相当な役割を果たしている。韓国の対米投資も２０１７年１５０億ドル（約２兆１８００億円）から倍に近い２８０億ドルに増えた」と指摘した。 呂氏は韓国の対米黒字について「他の国は米国に大量輸出をしながら雇用を米国で創出しない。だが韓国企業は良質の雇用を米国で創り出している」とし「このすべてのことは『ウィンウィン』だ」と話した。 反面、ボーン氏は「米国が韓国に対して５００億ドルを越える黒字を出したと考えてみるといい。韓国有権者はどう思うだろうか」とし「（対米黒字によって）政治的緊張がもたらされる場合があるということを韓国も理解しなければならない」と反論した。ボーン氏はトランプ政権第２期が韓米ＦＴＡの再検討を考えていると明らかにした。トランプ政権第１期にＦＴＡを改正した韓国の立場を考慮するべきだという意見に、ボーン氏は「我々が交渉したＦＴＡの改正がＦＴＡを改善したと信じている」としながらも「だが、その後韓国との貿易赤字がある程度増えた」と話した。あわせて「私は彼（トランプ）が自身が言う関税に対する完全なタダ乗り券（ｆｒｅｅ　ｐａｓｓ）を特定の国家に与えれば驚くだろう」と線を引いた。 これに先立ち、トランプ氏は２４日、輸入品に関税を課して韓国など他の国の雇用を奪うと発言した。これについてボーン氏は「貿易黒字による利益は非常に魅力的だが、交易パートナーに政治的不確実性を招くことになる。特に交易パートナーが長く貿易赤字を記録している場合は」と話した。 呂氏は米国内の雇用創出と製造業を優先する米国第一主義の基調は誰が大統領になっても維持されると見通した。ただし、関税を強調したトランプ氏とは違って民主党のアプローチ方法には違いがあるかもしれないと話した。呂氏は「米国は製造産業を再建しようとしているが一人では不可能だ。そのような面で韓国は米国の完ぺきなパートナー」と強調した。