エージェンシー グループのコモン・インタレスト、ブランデッドエンターテインメント企業を目指し続々買収
エンターテインメントを利用する
これに役立ってくれると同グループが考えているビジネスが2つある。ひとつは、彼らが投資を検討しているあるスタートアップ。もうひとつは、買収を検討しているあるビジネスだ。フリードマン氏は名前を挙げるのを避けたが、どちらも広告とエンターテインメントの両分野にまたがる企業だという。 「これらの企業の中心にあるのは、楽しませるために存在するオリジナルコンテンツをつくりたいという野心や、さまざまなアイデアを持っている人々だ」とフリードマン氏は言う。「我々には、その野心を実現し、そのアイデアに適したオーディエンスを見つけるのに役立つ強力なネットワークがある。また、我々がエンターテインメント業界の一端を担っていれば、ブランドが大衆文化のなかで活動するのを助けることもできる。その信頼性も大いに高まっている」。 広い意味で、コモン・インタレストの信頼性は申し分ないようだ。事実、一部のクライアントとは、単体ではなくグループ全体のビジネスとの提携についての話し合いも、すでに行われている。これは、昨年9月の設立以来、コモン・インタレストがここまで来たことの証拠にほかならない。
機能実行型ビジネスというよりも創作型ビジネス
かつてディアジオ(Diageo)でカルチャーおよびエンターテインメント部門の責任者を務め、現在は自身のエージェンシー、プラットフォーム13(Platform13)を運営するレイラ・ファター氏は、「注意すべきは、文化的関連性はエンターテインメントや広告に登場する著名人を超えたところにあるという点だ」と話す。「我々はいま、大転換の世界にいる。消費者の注目を集める争いは熾烈を極めている。メディア(デジタルとバーチャル)を取り巻く状況は細分化し、Web3による直感的行動が新たな商業モデルを動かし、AIがメインストリームに躍り出ている。そんななかにあっては、もはや従来のファネルは目的にかなっていない」。 明らかなのは、コモン・インタレストは定量化に対するマーケティングの執着に逆行するポジションを取りつつあるということだ。とはいえ、コモン・インタレストの首脳陣がこうした考えを完全にはねつけているわけではない。 たとえば、特定のアイデアを増幅させてリーチを高めるには、有料パフォーマンスが重要であると彼らは認識している。しかし、彼らがこうした指標に動かされることはない。その大部分がテクノロジープラットフォーム自身によって管理され、ますます商品化されるようになっているここ最近はとくにそうだ。これだけのことがあっても存在し得る強いアイデアを思いつけるかどうかは、マーケター次第とも言える。 「コモン・インタレストは、機能実行型ビジネスというよりも創作型ビジネスだ」と、フリードマン氏は語る。