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作られた観光に疑問投げかける「アンチ旅行ツアー」 ポルトガル

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The Guardian

【記者:Oliver Balch】 「ここからは、不法侵入になります」。ポルトガル第2の都市ポルト(Porto)を案内するマルガリーダ・カストロ(Margarida Castro)さんは、ツアー客に何気なく言った。「皆さん、大丈夫ですか?」。8人のツアー客はカストロさんに続いて廃虚の玄関をくぐった。  静かな石畳の街だったポルトは今、格安航空と政府の観光誘致策のおかげで、欧州屈指の観光名所となっている。  だが、2日間のすてきな旅行先になることで、代償も支払った。古くからあるカフェは米スターバックス(Starbucks)や英コスタ(Costa)などの大手コーヒーチェーンに取って代わられ、短期賃貸の増加で地元の家賃は上昇した。オーストリアのウィーンやスペインのバルセロナ(Barcelona)のような反観光客抗議活動はまだ起こっていないが、住民の不安は高まっている。  地元の人が観光業への熱意を失っているとしたら、観光客もそうだ。ポルトの観光名所は1日、2日で見て回ることができるため、中流階級の観光客は、違うものを求め始めている。例えば、旅行サイト、エクスペディア(Expedia)が2016年に行った調査では、特にミレニアル世代が「地元の人のように暮らし」、ありきたりではない「隠された宝」を見つける体験をしたいと望んでいることが分かった。  ポルトで生まれ育った36歳のカストロさんは、このような動きを歓迎している。カストロさんは数年前、建築家仲間2人と「ワースト・ツアーズ(Worst Tours)」を立ち上げた。ワースト・ツアーズは、使われなくなった工場、古い線路、空き地、みすぼらしい裏通りなどを案内する。ツアーの目玉? 1990年代半ばに倒産し、今ではカフェバーや音楽スタジオなどに安く貸し出されている中心地の元ショッピングモールだ。  3人の「アンチ観光ツアー」は、いかに観光がポルトを変えつつあるかに対する反発だ。「私たちは文句を言いたかったし、エネルギーやフラストレーションのはけ口を求めていた。だから、政治的議論を呼びそうなウオーキングツアーを立ち上げた」とカストロさんは語り、笑顔で続けた。「ツアーを立ち上げなかったら、薬物に走っていた」  ワースト・ツアーズのような従来とは異なる都市観光ツアーは、世界中の人気観光地で出始めている。このようなツアーはどこも、従来の観光ツアーに風穴を開け、その都市の実態を見せ、「真の」経験を提供すると謳っている。  なぜ、このようなツアーが人気だと思うかと聞かれると、カストロさんは「明らかでしょ?」と答えた。「誰も観光客なんかになりたくない」

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