「サンライズ」に喫煙個室は必要か? もはや唯一の“タバコが吸える列車” 匂いの影響を調べてみると意外な点が
禁煙室を狙うのは至難の業!
「サンライズ」の4・11号車は、半数の個室寝台で喫煙が可能な車両です。1人用A個室寝台「シングルデラックス」、2人用B個室寝台「サンライズツイン」とも非常に人気があるため、禁煙室を狙うことは困難であり、筆者は喫煙室に何度も乗車しています。 ■2人用B個室寝台「サンライズツイン」 レール方向に寝台が並ぶ2人用個室です。灰皿は寝台間の枕元に設置されています。喫煙室でも、個室内でタバコの匂いはほとんどしないと思います。 ただ3・4番個室が向かいあった喫煙室のため、自分がタバコを吸わなくても向かいからタバコの煙が入ってくることがあります。筆者の経験では、隣室の乗客がタバコを吸い始めると、明らかに分かるくらいの匂いが流れてきました。寝台が広い部分の頭上に換気扇があるため、空気は順次入れ替わりますが、匂いが気になる人は避けた方が無難だと思います。 なお、非喫煙者の4人グループが3・4番個室を予約できたとすれば、周囲にタバコを吸える個室がないため、禁煙室を予約したのと同じ状況になります。これは「シングルデラックス」の喫煙室25・26番個室も同様です。 ■1人用A個室寝台「シングルデラックス」 日本で唯一のA個室寝台で、灰皿はテーブルについています。23・24・25番個室が喫煙室です。喫煙室でも個室内でタバコの匂いはほとんどしませんが、隣室でタバコを吸われた場合は、「吸い始めた」ことが分かる程度には匂いが入ってきます。
24番個室は禁煙に改めよ
特に問題なのは、禁煙室である23番個室を予約した場合です。23番個室は車両の中央部で最も乗り心地に優れますが、向かい合う24番個室が喫煙室であるため、24番個室の乗客が喫煙者だった場合は、喫煙室と変わらない環境となります。 乗車時間が長い寝台列車において、喫煙可能箇所があることはやむを得ないと思うのですが、「シングルデラックス」の24番個室については、23番個室が禁煙である意味がないため、すぐにでも禁煙室に改めるべきだと強く提言します。 逆に、喫煙室でも24番個室を予約できた場合は、向かい合う23番個室が禁煙室であるため、実質禁煙室となります。ですから「シングルデラックス」については、タバコが苦手な人でも予約時に「禁煙室縛り」はせず、24番個室が取れたならそのまま乗車すればよいでしょう。 なお「サンライズ」の「ソロ」「ノビノビ座席」は禁煙設備のみのため、タバコの心配をする必要はありません。 まとめとして、喫煙車や喫煙可能な個室は時代に合わないと感じます。列車内に喫煙ルームを設け、個室内での禁煙は禁止にすべきではないでしょうか。喫煙ルームを設ければ、禁煙設備しかない「ソロ」「ノビノビ座席」の乗客も喫煙できる利点もあります。 そこで、5・12号車のトイレを喫煙ルームに変更してはいかがでしょうか。このトイレは客室とは離れた位置にあり、また隣接車両にもトイレがあるので、喫煙室への変更の影響は最小限です。編成の中央に近く利便性に優れ、定員への影響がない利点もあります。 特に学校の休み期間は多くの子どもも乗車する超人気列車ですから、喫煙者との棲み分けは必要だと思います。
安藤昌季(乗りものライター)