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阿部真央の配信ライブに感じた“心の距離”の近さ 弾き語りで力強い歌声披露した『UNITED FOR MUSIC』レポ

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リアルサウンド

 阿部真央の配信ライブ『UNITED FOR MUSIC -Live 60- 阿部真央』は無観客とは思えないほどに心理的な距離の近さを感じるライブだった。 アコギを手に熱唱する阿部真央【写真】  始まってすぐ「こんばんはー。阿部真央でーす」とゆるく挨拶をする姿はまるで友人との会話のよう。手にはiPadを持ち、リアルタイムで書き込まれたコメントを読みながら「普段のライブはMCでみなさんと話すことが多いんですけど、今日は画面上でみなさんとやりとりができたらなと思います」と話す。アットホームな雰囲気のMCから始まったライブだが、ギターを持って演奏を始めた瞬間に空気が変わった。演奏にさきほどまでの雰囲気は全くない。半年ぶりのライブとは思えないほどに切れのある演奏なのだ。  1曲目は「ロンリー」。バンドセットのライブでは盛り上がりが最高潮になるライブ定番曲だが、今日のライブは全編弾き語り。テンポを落として丁寧に演奏しているため、切ない歌詞とメロディが引き立っている。盛り上がるよりも落ち着いて聴くことで楽しむような雰囲気。しかし1番のサビ前では「いくよー!」と叫び、いつもと同様にファンを煽る。それを聴いたファンはコメントを書き込み盛り上がっていた。  「失敗しても何も言わないでね。本当は弾き語りでやるような曲じゃなくてバンドを引き連れてワーってやる曲なんですけど、今日は一人でやるしかないんです。頑張ります」とやや自信なさげに話してから、新曲「Be My Love」を2曲目に演奏した。しかし初披露とは思えないほどの完璧な歌声と演奏である。阿部真央史上最もキーが高い曲と言っていたが、それも全く問題と感じさせない突き抜けるような高音と物凄い声量だ。そして「まだいけます」をクールなギターのカッティングで演奏する。後半のサビで感情を剥き出しにした叫びに近い歌声は圧巻だ。  書き込まれたコメントや、事前にTwitterで募集していた「阿部真央の好きな曲とそれにまつわるエピソード」の投稿を読み上げていく阿部真央。「娘と行った初ライブでウインクしてくれたことが嬉しかった」というファンのエピソードを読み上げた後に「ありがとう!」と言いながらウインクをしたり、「配信なのでみんなが最前列で応援できますね」というコメントには「超名言だね! みんなが近くで観れるっていうのは良いことですね」と反応したりと、ファンとしっかりコミュニケーションを取っていく。  「夏なのでこの曲をやりたいと思いました」と話してから「貴方の恋人になりたいのです」を繊細な表現で歌った。〈夏は貴方と落ち合って一緒に花火をみたいです〉という歌詞が印象的な夏のバラードの名曲。弾き語りだからこそ、切ない歌詞と美しいメロディが引き立って胸に沁みる。続けて前向きなメッセージが込められた「READY GO」を力強く歌う。弾き語りではあるが、様々な曲を様々な表現で聴けるライブだ。  曲の合間に頻繁に行われたMCは常に親しみやすさがあった。「思い出の曲は好きな芸人さんに教えてもらった『モットー。』です」「武道館で聴いた『morning』の圧倒的パワーに衝撃を受けました」などファンの好きな曲やエピソードをいくつも読み上げていた。それに対して「読まれた!」とコメント欄やTwitterなどでファンは喜びを書き込んでいた。離れているのに近くに感じるような距離感だ。  そんな近い距離感を表現するかのように「どうしますか、あなたなら」を優しい歌声で届ける。そしてファンからのコメントで「好きな曲」として選ばれる数が多かった「Believe in yourself」を続けざまに演奏した。優しく寄り添うような歌詞を穏やかな表情で歌う。〈最後に報われるのは逃げずに居た君自身だから〉という歌詞に救われた人がたくさんいるはずだ。弾き語りだからこそ、歌詞がいつも以上に温かく聴こえる。  「歌を届けられることは幸せなことです。全然当たり前じゃないんだなってコロナになって思いました」と語り、この日のライブを主催したスペースシャワーや視聴しているファンに感謝を伝えた。「この状況でもできることを前向きに探す大きな一歩になったと思います。この企画には感謝の気持ちでいっぱいです。やっぱこれだよなと思うし、観てくれたみなさんも同じ気持ちなら嬉しいです」と語ってから最後の曲へ。ラストはポップな曲調に衝撃的な歌詞を乗せた「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」。演奏後になぜかフワちゃんの物真似をしてステージを去っていった。  チャット欄に「アンコール!」という文字や、「あべま!」「おー!」というアンコールの定番の掛け声がコメントとして続々と書き込まれる。そして再度ステージに登場する阿部真央。「画面の向こうでみんなも歌ってくれたら嬉しいです」と伝え「I wanna see you」を明るく歌う。ファンが歌っている様子が見えているかのような優しい笑みを浮かべ、幸福感に溢れた余韻を残したまま「またお会いしましょう! ありがとうございました!」と挨拶し、深くお辞儀してライブが終わった。  配信ライブは演出に凝ったり特殊な映像効果を加えたりと、通常のライブと違う工夫をして、模索しながら行われるものが多いと感じる。しかし阿部真央はシンプルな弾き語りによるステージを繰り広げた。ファンと積極的にコミュニケーションを取ることで生配信であることの必然性を示し、通常のライブと同じように演奏や歌声に力強さを感じて多くの感動を生んだ。ライブは人と人とのコミュニケーションの場でもあるのだ。配信でも阿部真央の音楽の凄さや人柄が伝わる素晴らしいライブだった。

むらたかもめ

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