日本株急落、信用買い残の強制整理が拍車か-個人に打撃の公算大
(ブルームバーグ): 日本株の急落を受けてこれまでに積み上がった個人投資家の信用買い残が整理を迫られ、相場下落をさらに加速させた可能性が高い。
東証株価指数(TOPIX)は前週末比の下落率が一時12%を超え、三菱重工業は一時18%、三井住友フィナンシャルグループは一時16%それぞれ下落した。桁外れの下げを受け、信用取引で買いポジションを持っていた投資家からの投げ売りが出ているとの見方が市場関係者から出ている。
個人投資家の信用買い残は7月下旬、日経平均株価が過去最高値から下げる中でも18年ぶりの高水準に達していた。株価が予想以上に下落した場合、信用取引で株式を購入した投資家は、追加の証拠金を差し入れる資金余力がない限り、損失覚悟で買いポジションを解消せざるを得ない。
ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは、「個別株を見ると、証拠金取引の投げと見られる売りが出ており、個人投資家が傷んでいる」と指摘。短期的にはセリングクライマックスを迎えている可能性はあるものの、まだ確証はないと述べた。
日本株に4.9兆円の火種、信用買い残18年ぶり高水準-相場かく乱警戒
賃金上昇と経済成長への期待を受け、日本の投資家はことし、以前よりも株式投資に積極的になってきた。政府が今年から始めた新しい少額投資非課税制度(NISA)によってもそうした流れは強まっていた。日経平均が年初来の上昇分を帳消しにしつつある中、高値から20%下げる弱気相場入りにより日本の個人投資家の間で国内株式に対する新たな投資意欲が持続的に生まれるかどうかが試されることになる。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、「投資経験の浅い人たちはこれほど大きな下落相場をあまり経験したことがないため、ショックはかなり大きいかもしれない」とし、「相場が安定するにはもう少し時間がかかるだろう」との見解を示した。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Hideyuki Sano, Mari Kiyohara