Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

柳井正氏が京大に「100億円」巨額寄付、節税になる? 寄付文化を後押しする可能性

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
税理士ドットコム

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は6月24日、京都大学に総額100億円を寄付すると発表した。ノーベル賞を受賞した同大学の山中伸弥教授と本庶佑特別教授の活動にそれぞれ毎年5億円ずつを京大が設置する「柳井基金」へ10年間寄付する形態で、50億円ずつ寄付する。 日本経済新聞の報道によると、柳井氏は記者会見で、「医学の世界で最大の悩みはがんとウイルスだ」と語り、iPS細胞を活用した新型コロナウイルスのワクチン、治療薬の開発や、がん免疫治療法の研究などにつなげるという。 寄付文化が乏しい日本では珍しい巨額の寄付だが、節税にはつながるのだろうか。冨田建税理士に聞いた。 ●巨額寄付の税額軽減の仕組み 朝日新聞の記事によると、年間10億円の寄付になるとのことですので、それを前提として考えます。話を簡略化するために、住民税は考慮外として、所得税・復興特別所得税について述べますと、下記の寄付金控除の適用が考えられます。なお、この他に税額控除の制度もありますが、本件は適用対象にならないと推察されます。 「下記(ア)(イ)のいずれか低い金額-2千円」を寄付金控除として課税所得を計算し、これに対する税率分を節税する。 (ア)その年に支出した特定寄附金の額の合計額 (イ)その年の総所得金額等の40%相当額 年間25億円の総所得金額等であった場合はその4割が10億円となりますが、そんなに総 所得金額等があるとは考えにくいので、(イ)の金額は、(ア)の10億円よりも低くなるでしょう。ですから、(イ)が適用されて、「ファーストリテイリング社の役員報酬やその他収入からなる総所得金額等の40%-2千円」を寄付金控除と扱う事になりそうです。 あくまで単なる参考レベルのシミュレーションですが、2019年8月期の有価証券報告書によると、柳井さんのファーストリテイリング社からの役員報酬は4億円/年です。 寄付金控除以外の各種控除や他の報酬、経費等を一切無視し仮に(イ)にあてはめると、約1.6億円が寄付金控除の適用対象となり、これだけの所得があると所得税の税率は最高税率の45%が適用されますので、(4億円-約1.6億円)×約45%(累進税率)で、約1.05億円の課税となります。 約1.6億円の寄付金控除がなかった場合と比較すると、約0.7億円、税額が少なくなります。 実際には、住民税も若干計算ロジックが異なりますが税額軽減となるので、更に税額が違ってくると考えられます。 ●寄付を公表することで、他の人の後押しにつながれば ここからは私見。まず、これだけの社会貢献をされる方に敬意を表したいです。 一方で、税制では前述の制度があるので、ある程度の所得のある人が一定の寄付をした際の負担は寄付額全額ではなく減税分は緩和される点を周知させると、社会全体の寄付は増える気がします。 そして、いつも思うのは、寄付をされた方に、できれば「積極的にそれを発表して頂ければ」という点です。売名に利用するなと言う人もいますが、それを言う資格がある人は自身がそれ以上の寄付をしている人だけです。 むしろ、発表する事で風潮ができ、他の寄付を考えている人の後押しになるのでは。 私も柳井さんに触発されたので、日本の進歩発展や文化振興・研究・国土保全に貢献する団体や環境保護団体、または国内の児童福祉の団体と言った「応援に値する団体」に数万円程度の少額ですが寄付しましょうかね。 見栄や過剰な私利私欲に浪費すると判断が濁りますが、寄付で視野を浄化させる効用もありそうですし。 【取材協力税理士】 冨田 建 (とみた・けん)税理士・不動産鑑定士・公認会計士 43都道府県で不動産鑑定業務を経験し各種財務・税務・裁判関連の不動産鑑定に関与。著書「弁護士・公認会計士・税理士のための不動産の法令・評価の実務Q&A」や各種媒体に執筆。公認会計士協会東京会第四回音楽祭で自作曲で優勝。 事務所名 :冨田会計・不動産鑑定㈱/冨田 建 不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所 事務所URL:http://www.tomitacparea.co.jp

弁護士ドットコムニュース編集部

【関連記事】