開発に10年、ユニクロが力を注ぐ高機能アウター「パフテック」は何がすごいのか
なんでも今年の冬は、ラニーニャ現象などの影響で、例年よりも厳しい寒さが予想されるという。 そんな冬を迎え撃つべく、「UNIQLO(ユニクロ)」はとある高機能アウターに力を入れている。「PUFFTECH(パフテック)」と名付けられたアウターの見どころは、最新鋭の繊維技術が駆使された中綿にある。 UNIQLO史上もっとも軽くて暖かいという中綿は着ぶくれしない、水や湿気に強い、綿抜けがしにくい、といったさまざまな特性を兼ねそなえる。 開発秘話から最新ラインナップまで、株式会社ユニクロのPRチームに話を聞いた。
UNIQLOの叡智を結集した機能性中綿
ーはじめに、パフテックとはどんなものかを教えてください。 数々の先端素材を手がける素材メーカー、東レと共同開発した機能性中綿です。天然の羽毛(ダウン)の構造を化学繊維で模したもので、多くの空気を含んだ層を生み出すことによって高い断熱効果と保温性を実現します。「パフテック」はこの中綿の名称であり、同時にこの中綿を使ったアウターの名称でもあります。 昨年、ベストやパーカなどを試験的に発売したところ、予想を超える反響がありました。そこで今シーズンは満を持して、最注力アウターとして本格展開を開始します。
ーパフテックは「UNIQLO史上、もっとも軽くて暖かい」ということですが、どこに秘密が? 新たに開発した繊維にあります。髪の毛の5分の1の細さの繊維を含む複数の繊維からできています。この極細中空繊維をさらにバネ状にすることで、より多くの空気層を生み出すことに成功しました。
また、多くの商品は中綿はシート状になっていますが、この中綿では形状を粒状にすることができたのもポイントです。より多くの空気を含むことができるようになったと同時に、卓越した軽量性を実現しました。
ー開発で苦労した点はありますか? 羽毛の暖かさは羽毛が膨らむパワーによって左右され、それを数値化したものをかさ高性といいます。一番苦労したのは、このかさ高性を高めながら、かつ本物の羽毛のような柔らかい風合いを出すことでした。1年に100回以上の試作を繰り返し、完成まで10年もの時間がかかりました。