50代、肌以上に年齢を決める『髪』大人のヘアケア
あのころより、かっこよく着こなせる服があると気づいているはず。あのころより、エフォートレスになじむジュエリーがあると気づいているはず。それなのになぜ、肌に対しては「あのころ」を求めるのだろう? 今こそ考えたい、美容の新視点。 【写真】50代からのヘアケア
5年ぶり? いや、もしかして10年ぶり、かなあ? それはそれは久しぶりに、あるアーティストの女性に会いました。20年以上前に仕事で知り合って意気投合、プライベートでも時をともにするようになり、でも、彼女が東京を離れてからは、なかなか会えなくなって……、今。躍動感とみずみずしさにあふれたオーラにまずは惹きつけられ、同時に目が釘付けになったのは、彼女のヘアスタイルでした。鎖骨あたりのミディアム、重めのワイドバング、ワッフルウェーブのウルフカット。ライトブラウンの髪色も相まって、なんだかパリジェンヌみたい。黒髪ストレートのセミロングも素敵だったけれど、今のほうが彼女っぽい気がして、「ヘアスタイル、素敵!パーマもカラーもすごく似合ってる!」と言葉にしました。すると? 「実は、逆でね……、パーマもカラーもやめたの」。聞けば、生まれつき黄みがかった茶色で、極度のクセ毛だった彼女は、それがコンプレックスで、ずっとダークに染め、ストレートパーマをかけていたといいます。でも、年齢を重ねるほどに傷みが目立ちはじめたこと、さらにはコロナ禍でサロンに定期的に通うのがむずかしくなったことから、思いきって「生まれつきを生かす」決断をしたのだ、と。ずっと背負っていたものを下ろしたら、俄然、楽になり、俄然、楽しくなって、「今、メイクも服も幅が広がったの」。いきいきとした表情からか、肌がより艶やかに、着こなしがより洗練されて見えました。生まれつきを生かすと、肌も服もこんなにも輝くのだと、改めて教えられた気がしたのです。 実は私も、ここ数年で「気づき」がありました。「多い×太い×硬い」がずっとコンプレックスだった私は、年齢とともにしだいに髪のハリやコシが弱まることで、コンパクトなボブスタイルが可能になった。つまり、エイジングによる弱点が、逆に、思いどおりのヘアスタイルをかなえてくれたのです。私も彼女同様、メイクが楽しい、服が楽しい。髪が毎日を、ひいては人生を変えてくれた気がして、決して大げさでなく、より、自分の髪を愛したいと思いはじめました。 生まれつきも悪くない。エイジングも悪くない。そう思えたら、すべてが変わるはずです。そのために、髪の素材力を高めるエイジングケアを。肌以上に印象を左右すると心得て、今日も、明日も。