サンロッカーズ渋谷と日本代表の不動のセンター【ジョシュ・ホーキンソン】! 大番狂わせで掴んだ自信が世界と戦う武器に!
ハンドリングスキルの高さやゴール下のフィニッシャーとしての得点力の高さで、バスケ日本代表の強さに貢献するサンロッカーズ渋谷のジョシュ・ホーキンソン。日本が世界に誇るビッグマンが、飛躍の分岐点を語ってくれた。
2023年8月27日 2023 FIBAバスケットボールW杯 1次リーグ フィンランド戦
プレーメイクにも関わりながら得点力も発揮する現代的なセンターとして、急成長を遂げているジョシュ・ホーキンソン。バスケットボール日本代表の強さを支える1人だ。パリ五輪の出場権を自力で獲得した2023年W杯では、2ポイントシュート成功率73.5%で1位、フリースロー成功数40本で4位、平均得点21.0点で7位と、主要部門のスタッツで上位にランクイン。トータルの貢献度ではNBAのスーパースター、ルカ・ドンチッチを上回り、同大会屈指のビッグマンであったことを世界に証明した。 そんなホーキンソンが分岐点として語ってくれた試合も、まさにそのW杯での一戦。日本代表が世界大会で欧州勢から史上初の白星を挙げた、1次リーグ第2戦のフィンランド戦だ。この試合で日本代表は18点差まで引き離された試合を逆転し、格上のフィンランドから歴史的な勝利を収めた。 「W杯でのグループステージでは、初戦のドイツ戦で残念ながら勝利を逃してしまったのですが、なにか手応えのようなものを掴んでいました。そこからフィンランド戦で勝利を挙げたことで、俺たちは行けるぞという流れを掴み、日本代表は世界大会で勝てないというジンクスを打ち破れたのは非常に大きなことでした。さらにそこからアジア最高位のチームになれたことで、僕だけでなく、日本代表にとっても大きな自信を得られた。その道を開いた分岐点という意味合いで、特別な試合です」 格上相手に大番狂わせを演じたこの試合では、若手コンビの富永啓生と河村勇輝が躍動。第4クォーターだけで富永が得意のスリーポイント、河村が鋭いドライブからのシュートで得点を重ね、勝利の立役者となったが、ホーキンソンも両チーム最多の28得点19リバウンドの大活躍で勝利に貢献。誰よりも長くコートに立ち、脱水症状に見舞われるほど死力を尽くして走り続けた。全力で戦い抜きながら、対戦相手のスターとのマッチアップに特別な思いを抱いていたという。 「フィンランドのエース、ラウリ・マルッカネン選手です。僕がワシントン州立大学に在籍していたときに、アリゾナ大学にいた彼と対戦して圧倒された記憶が鮮明に残っています。彼はNBAに入り、オールスターに選ばれるようなスター選手に成長しました。そんなかつてのライバルとのマッチアップということで、再戦を楽しみにしていたんです。スタッツ的にはマルッカネン選手も27得点12リバウンドと僕とほぼ同じスコアですが、貢献度を表す総合指標のEFFは僕が44で彼が25と結構差をつけることができた。NBAのオールスター選手と勝負できることを示せたことで、自分がいい選手に成長できたことをアピールできたのではないかと思っています」 さらに、試合終了後にはよい思い出になった出来事もあったという。「元ドイツ代表のセンターでNBAのスターでもあったダーク・ノビツキーさんがフィンランド戦の会場にいらしていて、試合後に『君、すごいね』という感じで声をかけてくれたんです。ノビツキーさんは、僕が子供の頃のアイドルのような存在。部屋に彼のポスターをたくさん貼っていたくらい憧れの選手だったんです。幼少期から理想としていた選手が自分の試合を見てわざわざ声をかけてくれたと思うと感慨深いですし、かけがえのない体験になりました」日本代表としてステップアップをし続ける中で、チーム内での自分の役割に対する思いも変わってきているようだ。 「日本代表の中では、年長者になってきました。今まではどちらかというと背中で引っ張るタイプで、ハードワークや献身性といったアクションの部分でリーダーシップを示してきたつもりです。でも、年を重ねて若い世代の選手が増えてきたこれからは、僕からもっとコミュニケーションをとり、みんなで前を向けるような声かけをしていく必要があると思っています。そのためには日本語の勉強も引き続き頑張りたいですね(笑)」 一方で、サンロッカーズ渋谷の大黒柱として、2024-25シーズンの戦い方においても手綱を引き締める。 「Bリーグのレベルは、かつて以上に上がってきています。特に僕らのチームが所属する中地区は群雄割拠の状態で、プレーオフ進出も簡単なことではなくなってきている。昨シーズンは1勝差で逃してしまったプレーオフ進出を果たすためにも、1分1秒に本気で向き合いながら戦っていかなければならないですね」