夫が亡くなったのに遺族厚生年金を受け取れない! その理由とは?
夫が亡くなった後、妻は悲しんでばかりはいられません。さまざまな手続きをしなければなりませんし、今後の生活のことを考える必要もあります。 特にお金の問題は重要です。それまで夫の収入で家計が支えられてきたなら、目の前が真っ暗になるかもしれません。そんなときに遺族厚生年金を受け取れれば、大きな助けになります。 ところが、受け取れるものとばかり思っていた遺族厚生年金が支給されないケースがあります。3つの例を挙げながら、説明します。
遺族厚生年金の受給に必要な加入期間
<事例1> K子さんの夫(66歳)は退職後、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取っていました。専業主婦だったK子さんの年金は、老齢基礎年金だけです。 夫が亡くなった後は遺族厚生年金を受け取れると期待していたのですが、年金事務所に問い合わせたところ、遺族厚生年金は受け取れないという答えが返ってきました。 <事例1は、なぜ遺族厚生年金を受け取れなかったのか> K子さんの夫はかつて俳優を目指し、アルバイトで生計を立てていました。生活が苦しかったため、国民年金には加入しませんでした。 K子さんと結婚して子どもが生まれ、夢をあきらめて就職したのは37歳のときです。それから60歳で定年退職するまで23年間、厚生年金に加入していました。 老齢年金は、加入期間が10年以上あれば受け取ることができます。ですから、加入歴が23年のK子さんの夫は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取っていました。 ところが、退職して厚生年金に加入していない状況で亡くなった場合、配偶者が遺族厚生年金を受給するには、25年以上の加入期間が要件です。そのため、K子さんは遺族厚生年金を受け取ることができません。 遺族基礎年金も18歳以下(18歳到達年度の末日まで)の子どもがいない場合は、受け取ることができません。K子さんの子どもは成人しているため対象となりませんでした。