植田日銀総裁、一段の円安はリスク大きいとの認識示す-日経
(ブルームバーグ): 日本銀行の植田和男総裁は、一段の円安はリスクが大きいと指摘し、政策変更で対応しないといけなくなるとの見解を示した。日本経済新聞が30日、インタビューでの発言を電子版で報じた。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続ける方針を示している。29日には11月の東京都区部消費者物価が強めの結果となり、追加利上げを後押しするとの見方から円が上昇。心理的節目の1ドル=150円を突破した。
日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS) 市場で、12月会合で政策金利(0.25%程度)を引き上げる確率は足元で6割程度となっている。10月会合前にブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、12月会合での利上げを53%が予想。来年1月の32%と合わせると85%に達していた。
植田総裁は18日の講演と記者会見で、これまでの経済・物価情勢は想定通りとの認識を示す一方、米国をはじめとした海外経済や金融市場の動向など見通しを巡る不確実性の大きさも指摘。21日には12月会合前には非常に多くのデータや情報が得られるため、現時点で会合結果を予測するのは「不可能だ」と述べていた。
7月の利上げはサプライズと受け止められて市場が乱高下する一因になり、植田総裁は市場との対話を一段と丁寧に行う考えを表明していた。7月会合前には、政策委員による講演や記者会見など日銀から目立った情報発信はなかった。12月会合を控えたタイミングでの総裁発言を、市場は対話強化の一環と受け止める可能性がある。
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Sumio Ito