<箱根駅伝>青学はなぜ圧勝で連覇を果たせたのか?
敗れた東洋大・酒井俊幸監督の言葉に青学大というチームの強さが現れている。 「1区が想定よりもハイペースになり、久保田君が非常に強かった。上村も悪くなかったんですけど、開きすぎた感はあると思います。あとは3区の差が痛かったですね。服部弾馬で追いつき、海岸線に出てから突き放したいと考えていました。それが反対にやられましたから。神野君が見える位置で5区につなぐことができれば、結果は違ったかもしれません。2分28秒差でしたから、心理面で神野君を有利にしてしまいましたね。 復路は6区で追撃しないと優勝のチャンスはなかったんですけど、青学大の1年生に引き離されました。さすがに選手層の厚いなかから選ばれた選手だなと思いましたよ。青学大は前回の優勝メンバーだけでなく、新たに入ってきた選手たちも非常に良い走りをしました。改めて強いチームだなと痛感させられましたね」 連覇を成し遂げた青学大・原監督は、「ハッピー指数が300%に上がりました。学生史上最強軍団を証明できてうれしく思います」と喜びを爆発させた。 青学大はこれだけ強力なチームをいかに築いたのか。 専門誌の『月刊陸上競技』が関東学連加盟の有力大学に入部する新入生の5000mベスト記録を調査したものに、うなずけるデータがあった。上位5名の平均タイムは、この4年間で青学大がダントツにいいのだ。 【現4年生/2012年度】 1青学大(14分10秒14) 2明大(14分15秒14) 3東洋大(14分15秒71) 3東海大(14分15秒71) 5駒大(14分17秒26) 6法大(14分19秒30) 【現3年生/2013年度】 1駒大(14分08秒20) 2青学大(14分11秒56) 3早大(14分12秒99) 4東洋大(14分12秒99) 5東海大(14分15秒24) 6明大(14分18秒50) 【現2年生/2014年度】 1山梨学大(14分08秒90) 2早大(14分10秒59) 3順大(14分15秒38) 4駒大(14分15秒53) 5青学大(14分16秒69) 6東洋大(14分17秒36) 【現1年生/2015年度】 1青学大(14分09秒33) 2明大(14分13秒81) 3駒大(14分14秒75) 4東海大(14分16秒67) 5順大(14分18秒00) 6日体大(14分18秒54) 青学大はブランド校とはいえ、当初からスカウティングがうまくいったわけではない。 1.入学した選手を毎年、確実に成長させる。 2.徐々に実績のある選手が入学する。 1と2の積み重ねが“巨大戦力”になったのだ。原監督は04年に就任。5年目の09年に33年ぶりの箱根出場を果たすと、その翌年から連続してシード権を獲得している。この3年間の順位は8位、5位、1位と推移。今回は連覇だった。いまの青学大は学生チームの“最高地点”にいる。これから先の未来に何があるのか。アオガクの進化が楽しみでならない。 (文責・酒井政人/論スポ、スポーツタイムズ通信社)