<箱根駅伝>青学はなぜ圧勝で連覇を果たせたのか?
ロケットスタートを決めた青学大は、2区一色恭志も区間3位と好走した。東洋大・服部勇馬に追い上げられるも、終盤に盛り返してトップを譲らなかった。22秒というアドバンテージが、3区に入った秋山雄飛の快走を引き出すことになる。 今回の青学大にとっては、連覇の重圧が最大のライバル。 原監督は「自滅」を一番恐れていた。しかし、神野、久保田ら主力選手以外は、そのプレッシャーを感じる余裕はなかった。メンバー選考が熾烈を極めたからだ。前回のVメンバー8人が残るなか、10区(2位)の安藤悠哉がエントリー16人から漏れて、6区(2位)の村井駿は1区の当て馬に。山村駿は2年連続で4区に登録されながらも、当日変更で交代された。 全日本メンバーの渡邉心と橋本峻も出番はなかった。他校なら主力となる有力選手を押しのけて、選ばれた者たちは、ようやく与えられた出番にアドレナリンを放出させた。 東洋大と駒大は3区にエースを投入してきたが、青学大は箱根初出場となる秋山雄飛。劣勢になるかと思いきや、秋山は歴代5位(1時間2分24秒)の好タイムで区間賞を獲得する。東洋大・服部弾馬から1分13秒、駒大・中谷圭佑から29秒のリードを削りとった。東洋大と駒大が繰り広げるはずの“エース対決”は意外な結果を生んだ。 青学大は4区田村和希が想定通りの区間賞。不安視されていた神野大地にトップでタスキを渡した。そして、今季二度の疲労骨折を経験した男が、奇跡的な復活を遂げる。1時間19分17秒の好タイムで山を駆け上り、東洋大と駒大の刺客を退けたのだ。神野の復活ランも「個の強さ」を象徴するものだった。 後続に3分04秒差をつけた青学大は復路も好走を重ねた。6区は原監督が唯一「不安」だと話していた1年生の小野田勇次。反対に追いかける東洋大は出雲と全日本で区間賞を奪っている口町亮。キャリアの差は明らかだったが、小野田が区間2位(区間タイ)で山を駆け下りて、鉄紺軍団“復路の切り札”を突き放した。タイム差は4分14秒。勝負の行方は、6区終了時で決定的になった。