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TOHOシネマズ全劇場がついに再開!AI検温システムなどコロナ対策を徹底「地道に『安心・安全』をお届けできれば」

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MOVIE WALKER PRESS

新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が解除され、東京都は6月1日、映画館などが対象となる休業要請の緩和措置「ステップ2」へ移行。コロナと共存していく“ウィズコロナ”が叫ばれるなか、TOHOシネマズは、6月5日より全67劇場揃っての営業再開に踏み切った。 早速、当日にTOHOシネマズ日比谷を訪れてみると、待ち望んでいた映画ファンが足を運ぶ姿が見受けられた。いま、映画館はコロナとどう向き合っているのか。TOHOシネマズ株式会社の常務取締役、戸嶋雅之氏をはじめ、TOHOシネマズのスタッフ陣を直撃した。 【写真を見る】画期的!体温を人に触れずに0.5秒で測定できるAI検温システム TOHOシネマズは、都心以外では5月15日から44劇場で順次営業を再開。そして5日、ついに東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県の23劇場も揃ってオープンした。実際にTOHOシネマズ日比谷に足を踏み入れると、光が降り注ぐ開放的なエントランスから館内に至るまで、細心の注意を払った感染予防対策が取られていた。 TOHOシネマズは、全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)が定める「映画館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を踏まえつつ、様々な安全対策を取っている。劇場内のモニターを見ると、全興連による注意喚起の映像も流されている。 劇場ロビーの自動発券機、vit(R)は1台置きに稼働しており、床にはソーシャルディスタンスを保つためのテープが貼られている。客席は飛沫感染防止のため、チェス盤方式で前後左右1列ずつ空けて販売されている。時間をずらした入場アナウンスや、館内清掃にあてる休憩時間を長めに取るなどの措置も。 そもそも、映画館は「興行場法」に基づいて営業していて、一定の空調設備の整備が義務付けられている。つまり換気が行き届いており、決して密閉空間ではない。ただ、コロナ禍においては、スタッフの方が「明らかに安全だとわかり、安心してご利用いただけるよう対策を取っています」と語るとおり、そのことを可視化する必要があった。 ロビーのソファやハイテーブルは撤去されているほか、コンセッションやグッズ売場にも足元の目印が。フロア全体でソーシャルディスタンスを保てる工夫がなされている。 劇場入口やロビー等には消毒液やペーパータオルが設置され、「紙兎ロペ」の新コロナウイルス感染予防対策のポスターも置かれていた。なお、YouTubeにはこのオリジナル動画がアップされている。スタッフの方によると「お子様にもわかってもらえるように、紙兎ロペのポスターと動画を作りました。ぜひ、映画館へお越しになる前に観ていただきたい」とのことだ。 画期的なのは、AI検温システムの導入だ。AI顔認識技術と赤外線カメラによって、直接、顔に触れずに従業員や来場者の体温を0.5秒で測定できる。体温をプラスマイナス0.4度の精度で測定することが可能で、マスクやメガネを着用したままでも測定できる優れもの。 従業員も検温が義務付けられ、フェイスシールドやマスク、手袋を着用し、対面で接客する際には、飛沫防止パネルを挟んでのやりとりをしている。いまは映画館以外でも、キャッシュレス決済が推奨されているが、映画館でも釣り銭はキャッシュトレーで渡される。 現場スタッフも待ち望んでいた営業再開。支配人によると、「休業期間が長かったので、スタッフが戻ってきてくれるかも心配でした。ただ、『再開します』と連絡した時に、ほぼ全員がすごく喜んでくれて『早く働きたいです』と言ってくれたんです」と、その声には安堵したそうだ。 TOHOシネマズ日比谷の再開日にいち早く駆けつけたのは、おそらくコアな映画ファンが多いだろう。「ファミリー層などライトな映画ファンが戻るには、まだまだ時間がかかるでしょう。アトラクション施設をはじめ、様々な施設が再開し、世の中の雰囲気が変わらないと、難しい。もちろん、ワクチンの開発なども含めた、総合的なところです。私たちとしては、地道に『安心・安全』をお届けできればと思います」とスタッフの一人が語る。 また、劇場チェーンならではの苦労もあったようだ。「ローカルも含めて、体制を整えていかなければいけない。すべての劇場で、均一の安全対策をする必要があるので。今後、営業していくなかで気づくところもあると思います。そこは、お客様のご意見やご感想も取り入れつつ、少しずつ良くしていければと思っています」。 最後に、TOHOシネマズ株式会社の常務取締役、戸嶋雅之氏に話をうかがった。「映画館を早く再開してほしい」という映画ファンの声は「とてもありがたいこと」と心から感謝していたが、「その気持ちに早くお応えしたいと思いつつ、拙速にやっては混乱を起こしかねないので、焦ってはいけないという気持ちはありました。実際にお客様の目に見える形で安全対策を整えるのには、時間が必要でした」と述懐。 また、大手劇場チェーンであるTOHOシネマズとして、“ウィズコロナ”ならではの映画鑑賞の提案や工夫点、今後の展望について尋ねると「まだ、大それたことを言えるような状況ではないです」と、神妙な面持ちで答えてくれた。 「我々がいまできること、また、やらなければいけないことは、映画館という施設が、お客様や従業員にとって“安心安全”な施設だと示すこと。ただ、それだけです」と、繰り返す。 「以前から映画館は安全な場所ではあったのですが、こういう状況になったからこそ、より一層、アピールしたいと思っています。今後、新しい映画鑑賞スタイルが生まれていくのかもしれないですが、私たちにはまだ、そこを考える余裕はないです。感染予防対策を徹底し、従業員たちも気を配っていく。少しずつ、広げていくしかないんです」。 さらにこう続ける。「このあと、どうなっていくのかはわかりません。公開を延期している作品について各配給会社の動きも出てきましたが、いまは今後について、いろいろと考えられるステージはまだ先だという気がしています。時間をかけながら、あるべき姿の映画館に戻していくことを、みんなでやっていかないと。ようやく、多くの映画館が営業再開されたので、我が社だけではなく、映画業界を挙げて、安全・安心のアピールをしていく必要があると思っています」。 すなわち、いまこそ映画業界が一蓮托生で、手を取りあっていかなければいけないということだ。それだけではない。映画館のスタッフだけではなく、私たち映画ファンも、検温や消毒、三密を避けるなど、新たなマナーを心得るべきだろう。その両方があってこそ、映画というすばらしい文化と心の財産を、これからも守っていくことにつながるのだ。 取材・文/山崎伸子

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