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日本独自の買い切りクラウドサービス「Microsoft 365 Education GIGA Promo」とは何か、改めて日本マイクロソフトに聞く

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Watch HeadlineこどもとIT 日本マイクロソフトは2020年2月4日に、文部科学省の「GIGAスクール構想」に準拠した端末と、マイクロソフトのクラウドサービスなどを組み合わせた「GIGAスクールパッケージ」を発表した(詳細は『「日本ではデジタル機器はゲームをする道具」、文科省がGIGAスクール構想で露わにする危機感』を参照)。しかし、1ヶ月後にOfficeアプリケーションを含む「Microsoft 365 Education GIGA Promo」(以下、GIGA Promo)を追加でリリース、参考価格2760円という買い切り価格で提供することを同社のブログで公開した。しかも、GIGA PromoはGIGAスクールパッケージに含まれるという。 【この記事に関する別の画像を見る】 GIGAスクールパッケージで、複雑になりがちなPC一括導入とライセンス購入がシンプルにまとまったと思ったところに、GIGA Promoが追加発表された理由は何なのか。そして、GIGA Promoとはそもそも何なのか。その正体を日本マイクロソフトへのインタビューから読み解く。 ■オフライン時にも使えるデスクトップ版Officeアプリを特別価格で提供 GIGAスクールパッケージは、GIGAスクール対応PCや教員研修、文部科学省ガイドライン準拠のクラウド環境などをひとつにまとめたものだ。そこに、1ヶ月後に加わったGIGA Promoは、GIGAスクール構想に対応した特別価格で提供される日本独自ライセンスで、「Intune for Education: 端末管理ツール」、「Microsoft 365 Apps」(※)、「Windows 10 Pro Education: OS」の3種類のサービスが提供される。 ※Word、Excel、PowerPointなどが含まれるOffice 365 ProPlusは、2020年4月22日より「Microsoft 365 Apps」に名称変更された。 Intune for Education は、端末管理(Mobile Device Management、以下MDM)ツールだ。GIGAスクール構想においては、多くの自治体や教育機関で大規模な端末導入が実施されるが、端末導入後、それらをリモートで一元管理できるサービスとなる。端末・ユーザー・アプリの管理・制御を一括して行うことができ、セキュリティを担保した形での運用を実現する。Windows OS だけでなく、iOS・Mac OS・Android も一元管理できるため、教育現場の管理工数を削減することができる。 Microsoft 365 Appsは、以前はOffice 365 ProPlusと呼ばれていた、いわゆるデスクトップ版Officeアプリだ。オフライン時にも使えて利便性が高いことから教育機関にも特別提供し、子どもたちにとってより良い学習環境をめざす。もちろん、従来から提供されているブラウザ版Officeも引き続き利用できる。 Windows 10 Pro Education は、企業レベルのウイルス対策機能を備えた Windows Defender を標準で搭載し、子供たちの教育データを安全に取り扱うことができる。また、教育現場のために OS の設定をカスタマイズできるため、セキュリティやプライバシーが守られた環境ですぐに学習を始めることが可能になっている。 ■GIGA Promoが追加発表されたのはなぜ? GIGA Promoに関して気になることは、GIGAスクールパッケージの記者発表会から遅れての追加発表となったことだ。本来であれば、GIGAスクール構想に関するプランなのだから、同時に公表されるのが自然であろう。追加発表の経緯は何か。 日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長である中井陽子氏は、次のように説明する。「実は、GIGAスクールパッケージの発表以降、『デスクトップ版Officeアプリはどうなるのか?』という問合せを教育関係者や販売パートナーの皆様から頂いていました。本来はGIGAスクールパッケージ発表時に一緒に発表することが理想的でしたが、そのタイミングには間に合わず、皆様のご期待にこたえる形で追加でソフト部分の発表を行うことになりました」。同社にとっても重要な製品ではあるが新商品ではない。改めて発表会を開催することはむずかしく、ブログでの発表になったという。 デスクトップ版Officeアプリに関する問い合わせで多かったのは、4万5000円の補助金が支給されるGIGAスクール対応PCに同製品が含まれるかどうか、ということだった。GIGAスクール対応PCを購入しても、別途デスクトップ版Officeアプリを購入しなければならないとなると補助金では収まらないからだ。これに対して中井氏は、「GIGA Promoの発表で、Officeアプリも含めて、ほぼ4万5000円の予算以内で収まりますとアピールできるようになりました。安心して導入いただける環境が整ったと思います」と語る。 ■今までの教育機関向けライセンスとGIGA Promoは何が違う? 確かに、この内容で1台あたり4万5000円は安い。しかし、この割安感がなかなか教育現場に伝わりにくい現実もある。その理由は、皮肉にも「Microsoftプラットフォームは値段が高く、わかりにくい」という先例が教育現場にはあるからだ。 中井氏も、「これまでのようなパソコン教室を整備する場合、Windows搭載PCの価格は4万5000円の補助金では購入できない価格帯のものばかりでした。また以前は、Officeの『スクールアグリーメント』の価格も高額でした。数年前から、これらの価格は是正されているのですが、このことをご存じないまま、“マイクロソフトは高い”というイメージを未だにお持ちの方が多いのではないかと思います」と認める。 日本の教育機関では、すでにいずれかのライセンスやOffice 365を導入しているところも多いことから、「新たに登場したGIGA PromoとOffice 365 A1/A3/A5をどう組み合わせればいいのか?」「Office 365のA1/A3/A5と何が違うのか?」といった声が、パートナー、教育関係者・自治体から寄せられていた。 それに対して、日本マイクロソフトでは、「GIGA Promoは、GIGAスクールパッケージで導入されたPCに紐付いたデバイスライセンスという形で、デスクトップ版Officeアプリと(Office 365 A1には含まれない)MDMサービス『Intune for Education』が利用できる」と説明しているという。 なぜ、GIGA Promoはこのような形態になっているのか。それは、今回のGIGAスクール構想の端末が“買い切り”で提供されることを文部科学省側が想定しているためだ。 本来、デスクトップ版OfficeアプリであるMicrosoft 365 Apps(旧称Office 365 ProPlus)とMDMサービスのIntune for Educationは買い切りのパッケージではなく、「一定期間ごとにサービスの利用契約をする」というサブスクリプション契約が基本だ。しかし、前述のとおり買い切りでなければGIGAスクール構想の補助金の支給対象とならない。そのため、日本マイクロソフトはGIGAスクール構想に最適なパッケージとしてGIGA Promoで提供されるMicrosoft 365 AppsとIntune for Educationは、導入したPCに紐付いて6年間利用できる買い切り製品”という特殊な形態としたのだ。米国のマイクロソフト本社が、日本の教育市場のために配慮した製品、それがGIGA Promoの正体だ。 では、すでにOffice 365 A1/A3/A5のいずれかのライセンスを導入している学校が、GIGA Promoで端末を導入する場合はどう考えればいいだろうか。 Office 365 A1を導入済みの学校は、オンライン版Officeに加えて、GIGA Promoが搭載されたPCでデスクトップ版Officeアプリが利用できるようになる。Office 365 A1にはMDMがついていないため、端末管理まで考えればこの機会にGIGA Promoで全台リプレース導入する価値はあるといえる。 Office 365 A3/A5を導入している学校の場合、すでにデスクトップ版Officeアプリがライセンスに含まれている。既存の端末が老朽化していて、かつ、MDMによる端末管理の必要性を感じるなら、GIGA Promoで全台リプレースしつつOffice 365 A1に契約を変更することでコスト削減ができる可能性がある。ただし、Office 365 A3/A5のデスクトップ版Officeアプリはユーザー1人あたり最大5台のWindows PCやMacにインストールできるが、GIGA Promoは対象PC以外にはインストールができないデバイスライセンスであることに注意が必要だ。 ■割安感ではない教育分野におけるマイクロソフトの強み とはいえ、GoogleやAppleなどの競合ベンダーもGIGAスクール構想においては、割安感を前面に出した製品を投入している。改めて、日本マイクロソフトの強みはどこにあるのか。 「学習効果を最大化するとともに、取り残される子を1人も作らないためのサポートツールを用意しています。たとえば、失読症の子向けに読み上げ機能を提供するイマーシブリーダーなどです。テクノロジーの力で子どもたちの学びをサポートするとともに、新しい能力を生み出すことにもチャレンジしています」と中井氏は語る。 また、今回のGIGAスクールパッケージには含まれていないが、教育版マインクラフトはプログラミング教育に利用できるだけでなく、仮想空間の中でものづくりを通した協働学習にも活用できる。マインクラフトを活用した協働学習は教育的な効果をもたらすと話す教育関係者も多く、相手への思いやりや、“empathy(共感)”を経験しながら、子どもたちが自分とは違う他者を認めるようになっていくと中井氏は話す。前述のように教育版マインクラフトはMicrosoft 365 A3/A5のライセンスで利用できるが、GIGA Promoを導入した学校でも後から生徒数分の教育用マインクラフトを追加契約することも可能だ。 またテキスト入力の際に「UDデジタル教科書体」のフォントが使えることや、文字の縦表記に優れているなど、日本語表記に最適化された製品であることも強みだと語る。「これはプラットフォーマーとして、長年、日本の教育現場で製品を提供してきたからこそ蓄積されたものだといえます」(中井氏)。 一方で、教育現場で気になるのがセキュリティ面だ。これについて中井氏は、「GIGAスクールパッケージはセキュリティを担保していることも強みです。WindowsやOfficeといった製品のセキュリティに加え、きちんと監査を受けており、将来的な運用についても配慮しています」と力説する。 GIGAスクール構想におけるICT環境整備は、これまでのようなパソコン教室の整備とは全く発想が異なる。1人1台環境や、大規模な端末管理、学習におけるクラウドの利用、児童生徒へのアカウント配布やデータ管理など、クラウド基盤を軸に教育現場を大局的に動かしていく視点が必要だ。 マイクロソフトは長年、日本の教育現場で培った知見と実績がある。一方で、「これまでのようなパソコン教室」を作ってきたのもマイクロソフトだ。GIGAスクールパッケージとGIGA Promoで教育現場のクラウド化を推進できるか、同社の底力が試されている。

Watch Headline,三浦優子

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