「通学路を歩く小学生の安全を守りたい」高校生が不審者情報を分析しアプリ開発
小学生が、通学路で不審者に遭う危険を減らしたい。東京・多摩科学技術高校の塩谷遥さん、千田優渚さん、水口青空さん(ともに3年)は、その思いで通学路での防犯意識を高めることを目的にしたウェブアプリを開発した。(文・写真 野村麻里子)
不審者情報を分析、「危ない場所」の特徴を調査
スーパーサイエンスハイスクールにおける探究活動の一環として、2年生の1学期から研究を始めた。塩谷さんがプログラミング、千田さんと水口さんがデータ分析を担当した。 まずは、警視庁が公表した、東京都で発生した264件の不審者情報や事件について、住所と日時を調査。さらに下校途中の小学生に焦点を当てるために、「被害者が小学生」「14~18時に起きた」ものなど101件に絞った。 発生した場所をGoogleストリートビューで一つ一つ調べ、現場の外観の特徴を確認。ある事象が起こりやすい条件を分析できる統計手法「ロジスティック回帰分析」を用いたところ、不審者遭遇の確率は「路上駐車が増えるほど増える」「コンビニの数が増えるほど下がる」、道幅に関しては「車が2台通れるほどの道路」が最も不審者に遭いやすいことなどが分かった。
楽しく学べるウェブアプリを作成
小学生が楽しく防犯意識を高められるよう、ウェブアプリを作成。とっつきやすいよう、カラフルでポップな街並みのイラストを用いた。街をクリックすると危ない場所を示し、2択クイズで学習できる仕組みも搭載した。実際に小学生や保護者に使ってみてもらったところ、好意的な反応を得られた。
小学生の安全の助けになりたい
今後は、11月まで研究を続ける予定。小学生や保護者にさらに使ってもらいアンケートを して、作成したシステムの有用性を調べたいという。塩谷さんは「不審者情報を調べていると、世間に認知されていない事件も多く起こっているとわかった。小学生が安全に通学路を歩ける助けになれば」という思いで研究を続けているという。 探究学習を通じ、自主的に考えたり調べたりする力がついた。「調べてみてダメなところが分かったら、じゃあ次はどう行動すればよいか、考えられるようになりました」(塩谷さん)
高校生新聞社