全ての空は1つにつながっている

　このように夢と不安と両方抱えながら日々プレーをしている彼にとってできたこと、それは暗いうちから誰よりも早く起き、誰よりも早く練習に現れ、そして誰よりもたくさんボールを蹴ることだけのはずです。そんな彼が見上げる夜明け前の空はまだ明るくはないかもしれません。しかしこの空こそが彼にとっての希望であり、未来です。 　サッカーを始めたばかりの子供を見守る空。まだ、彼らには勝ち負けとか、レギュラー争いとか、誰かを蹴落としてでも自分が上にいかなければならない覚悟といったものはなく、無心で友達と一緒にボールを追い掛けていることがただただ楽しいはずです。そういった子供たちを見守る空っていうのは真っ白なまでに純粋で輝かしいものでしょう。 　2011年、なでしこジャパンが初めて世界一に輝いたときに拳を突き上げた空。このタイミングまでは女子サッカーという競技は必ずしも日本においてメジャーな競技ではありませんでした。どうして女の子がサッカーやってるの、サッカーって男子の競技なんじゃないの、そういった言葉をよく掛けられたという話を聞きました。しかし、彼女たちはひたすらに前だけを見て練習を重ね、そして男子よりも先に世界一の座に輝くことができました。誇りとともになでしこジャパンが見上げた空は、この写真のように黄金色に輝いていたことと思います。 　一方で昨年、SAMURAI BLUEがベルギーに敗れ仰ぎ見たロストフの空。正直暗いものだったと思います。しかし選手たちはこの空を見上げながらもっとプレーヤーとして成長するんだ、自分が日本代表を次のステージに連れていくんだ、決意を新たにした空だったかもしれません。 　このように空は1つ1つ、1人1人違います。しかし全ての空は1つにつながっています。今回のユニホームは前面と背面で1つのストーリーが構成されています。前面にはそれぞれの地点でそれぞれの人々が見てきた空が1つになっていく様が表現されおり、そして1つになった空が向かっていく、この最高の青空が背面に表現されています。この1つ1つの空が1つにつながり、最高の青空に向かっていく様、これを表して今回のコンセプトは日本晴れ。日本晴れとさせていただきました。