引退は「人事異動」社会人野球のレジェンド トヨタ自動車 佐竹功年(41) 第二の人生「プロ野球じゃないとダメですか?」【5年目Dの取材記(2)】
ことし6月、初めてご本人とお会いする日、私たちは緊張していた。今回の取材相手はトヨタ自動車の佐竹功年さん。私も同行するプロデューサーも大学まで野球をしていたので、もちろん佐竹さんの名前は知っていた。 【写真を見る】引退は「人事異動」社会人野球のレジェンド トヨタ自動車 佐竹功年(41) 第二の人生「プロ野球じゃないとダメですか?」【5年目Dの取材記(2)】 私は「社会人野球界で活躍している、とんでもない球を投げる投手」「独特な投げ方でサングラスをかけてプレーする人」という印象。 その佐竹さんがことし7月の対抗野球大会を最後に引退する。私たちが緊張していたのは、引退するときだけ取材させてほしい、という厚かましいお願いをしに行くという自覚があったからだ。 すごい人に会えるという元野球人としてのワクワクと、いくら仕事とはいえ、失礼にあたるのではないかという不安が交差するなか、6月末に雨上がりのトヨタスポーツセンターを訪ねた。 佐竹さんは颯爽と室内練習場にやって来た。「初めまして!」。おそるおそる名刺を差し出すと、晴れやかな笑顔で対応してくれた。「ひとまず、良かった。というか、サングラスをしていないとこんな顔なんだ」。引退を間近に控えた緊張感や悲壮感は一切なかった。 ■「吉見一起、源田壮亮、栗林良吏が大絶賛」 社会人野球には「都市対抗」と「日本選手権」という2大大会が存在する。トヨタはこの都市対抗で2回、日本選手権では7回優勝している名門。佐竹さんはほとんどの優勝を経験している。 なかでも2016年には都市対抗のMVPに相当する「橋戸賞」を受賞するなど、数々のタイトルを受賞してきた。その功績は数え始めれば、キリがない。では一体、佐竹さんはどんな投手なのか?私はトヨタのOBでプロ野球へと進んだ3人に聞いた。 球界を代表する守備の名手、西武ライオンズの源田壮亮選手は“コントロールの良 さ”を特長に挙げた。「プロでいろんな投手の後ろを守ったが、あそこまで正確に投げる人はいない。笑っちゃうくらい」。 中日ドラゴンズの黄金期を支えた吉見一起さんは「ピーク時はプロの一軍で投げられるボールを投げていた」と太鼓判を押す。