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高橋李依、多彩な音楽性への対応力 イヤホンズや『LISTENERS リスナーズ』などから考察

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リアルサウンド

 現在放送中のTVアニメ『LISTENERS リスナーズ』のエンディング主題歌集『Song of LISTENERS: side Goodbye』が本日5月27日にリリースされた。毎話異なるエンディング曲を1枚にコンパイルしたもので、本作には第2話から第6話で使用された計5曲を収録。残り話数分は6月24日リリース予定の『Song of LISTENERS: side Hello』に収められる。  これらの楽曲はすべて、ヒロインを演じる高橋李依が役名であるミュウ名義で歌唱を担当した。これを機に、声優を本職とする彼女のシンガーとしての側面にスポットを当て、その魅力に迫ってみたい。 ■“非アニメ声”のトップランナー  まず声優としての彼女の最大の特徴は、いわゆる“アニメ声”と称される声ではない点だろう。かわいらしい系統の声質ではありながらもカドの丸いマイルドな特性を持ち、話し声の音域は比較的低め。“非アニメ声の若手声優”というだけでも貴重な存在と言えるが、なおかつこれほどの人気と実力を兼ね備えるケースは極めて珍しい。現状、高橋以外でその条件に当てはまる声優というと、タイプは違うが早見沙織などが挙げられるのではなかろうか。  高橋の声は、ざっくり言うと“普通っぽい”ところが魅力的だ。声優の世界では構造的に“普通”の声を持つ人材が希少であるため、「“普通”であるがゆえに代えが効かない」というアンビバレントなポジションが成立する。近年の高橋は主役級を演じる機会も増え、現在放送中のアニメでは『LISTENERS リスナーズ』のほかに『かくしごと』でもヒロイン・後藤 姫の声を務めている。今のアニメシーンに欠かすことのできない存在にまでのぼり詰めたと言っても差し支えないだろう。 ■シンガー・高橋李依の魅力  シンガーとしても声優業と同様、クセのないストレートな歌声が魅力となっている。無個性というわけではなく、一聴して「高橋李依の歌だ」と聴き分けられる記名性も併せ持つ。また、1音1音を丁寧かつ明瞭に発音する言葉の聞き取りやすさも特徴的で、音程の取り方にしても折り目正しい。ビブラートやしゃくりのような細かい装飾技術を極力使わない実直なボーカルスタイルとも相まって、聴く者に「真面目でまっすぐな歌い手」という印象を抱かせる。  現時点では本人名義でのソロシンガー活動歴はなく、アーティスト活動は3人組ユニット・イヤホンズとしてのみ行っている。イヤホンズは、高橋のTVアニメ初主演作『それが声優!』に付随するプロジェクトとして2015年に結成された声優ユニットで、放送終了後もその活動は継続され現在に至る。これまでに6作のシングルと2作のアルバムを発表しており、今年7月22日には3rdアルバム『Theory of evolution』がリリースされる予定だ。  そうした状況にあって、『Song of LISTENERS: side Goodbye』のような作品は貴重であると言っていい。キャラクターソング集とはいえ、高橋によるソロ歌唱をまとめて聴くことができる機会はそれほど多くはないからだ。 ■『LISTENERS』楽曲の聴きどころ  キャラソンであるため、言うまでもなく高橋は全編ミュウを演じながら歌っている。元気で気の強い少女像を表現すべく、少しだけ少年ボイスに寄せた声色をベースに、その歌声は、アルバムを通してさまざまなジャンルを横断していくトラックに違和感なく溶け込んでいる。エレクトロやビートパンクもあり、ソウルテイストのダンスナンバー、オーガニックなピアノバラードなど、その音楽性は多岐にわたる。  特筆すべきは、基本的に歌い方を大きく変えていない点だ。楽曲に合わせてアプローチを大胆に変える技術を持ち合わせていながら、曲ごとに変化はつけているものの、高橋本人が歌い分けているというよりは「ミュウが歌い方を工夫している」範囲内に収めている。  にもかかわらず、これだけ多彩なサウンドに歌をマッチさせることができている要因のひとつは、声そのものが持つ社交性の高さであると考えられる。生まれ持って強いクセがない分、わざわざ合わせに行かなくてもある程度合ってしまうのだろう。それもあって、「ミュウという軸をぶらすことなく幅広い音楽性に対応する」という難題を見事にクリアしている。もはや高橋の声は、ナチュラルにどんな音とでも仲良くなれる“愛されボイス”と言ってもいい。

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