伊藤健太郎「この期に及んで隠すことは何もない」映画復帰作の舞台挨拶で感無量
映画『冬薔薇(ふゆそうび)』完成披露舞台挨拶が17日、都内にて行われ、主演・伊藤健太郎と共演の小林薫、余貴美子、阪本順治監督が登壇。本作で2年ぶりに映画出演を果たした伊藤が、映画復帰への思いを語った。 【写真】目を赤くし、深々と頭を下げた伊藤健太郎 半端な不良仲間とつるんで日々ダラダラと暮らす青年を主人公に、人間の業を切なくはかなく紡ぐ物語。阪本順治監督が伊藤をイメージして当て書きしたオリジナル脚本による意欲作。 冒頭、伊藤は「この場に立てていることに感謝以外の何物もないです。自分がまたスクリーンに戻れるんだということがうれしいですし、あのタイミングで声をかけてくれた阪本監督に感謝しています」と挨拶。2020年の不祥事以来、約2年ぶりとなる出演映画での登壇に「味わったことのない感覚です」と目を赤くしながら深々と頭を下げた。 そんな伊藤に、父親役・小林薫は「最初に伊藤くんの名前を見たときニタッと笑ってしまった。復帰第1作目に呼ばれたのはうれしかった。2回目からはそんなに言われないから(笑)」と茶目っ気を交え、母親役・余貴美子は「伊藤さんは、おじさん、おばさんの会話をよく聞いてくれる、とてもいい人。おかげですぐ親子になれました」。 先輩2人からの温かい言葉に、伊藤も「こんな素敵な大、大、大先輩方と共演できたことは今後の人生の財産」と感謝。伊武雅刀、石橋蓮司ら、共演のベテラン陣たちとも意気投合したようで「その背中を見て震えました。自分も50年、60年後ああなりたい」と前を見据えた。 阪本監督は、本作のオファーを受けたときについて「まず伊藤くんのことをよく知らなかったので本人に会わせてほしい、とお願いしました。オレの話を鼻くそほじりながら聞いたりしたら即お断りしたんですが」と笑いを交えつつ「初対面の、40歳も年上の人間の、どんな質問にも正直に答えてくれた。それで信頼して、僕の恥の話もし、仲間としてやりましょうとなった」と振り返った。 そのときのことを伊藤も「自分がどういう環境で育って、どんな友達がいてという細かい話をさせていただいた。なんで初めて会う方にこんなに自分のことを話せるんだろうな、と。でもこの期に及んで自分に隠すことは何もないので」と振り返り、クランクイン初日は「正直、めちゃくちゃ怖かったです。約1年、お休みさせていただいていたので。でも現場に入ったら阪本組の温かい環境で、余計な不安は初日で取り除くことが出来ました」と話した。 そんな伊藤の魅力を聞かれた阪本監督は「見てもらえれば分かりますよ。スクリーンの似合う子」と話し「冒頭で感慨深いと言ったのは、オファーを受けてから、伊藤くんを待っている人たちの前にお連れするのが僕の仕事でもあったので…」と、作品完成を迎え万感の思いをにじませた。 最後に伊藤は「映画復帰という形で本作に携わらせていただいて、いろいろなご意見、賛否あることは覚悟しています。公開するにあたって怖い部分もありますが、あのとき自分が持てるものすべてを注いだ作品です」と胸を張り「自分が今ここに立てているのは、この作品に携わった方々や家族、友人、そして見に来てくださる方々のおかげ。すべての人に感謝します」と締めくくった。 『冬薔薇』は6月3日より公開。