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【伊藤詩織さんインタビュー】漫画家はすみとしこ氏らを提訴。SNSの誹謗中傷など70万件を分析

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BUSINESS INSIDER JAPAN

「見なければ」という問題ではない

伊藤さんは、当時の心境をこう語る。 「スルーすればいい、見なければいいんだと人にも言われ、自分にも言い聞かせ続けてきました。それに当時は(誹謗中傷に)向き合うだけのエネルギーがなくて……。何か反論することで、聞かれたくない言葉がまた広がってしまう。そのことがすごく怖かった」 しかし、嫌がらせや誹謗中傷はエスカレートした。自分が行った場所の写真と性器の写真が同時に送りつけられたこともあり、身の危険を感じたという。 伊藤さんの心を動かしたのは、痴漢被害に遭ったという高校生との対話だった。その高校生は、痴漢被害者に対するネットの中傷コメントを見たことで、親にも自身の被害を言い出せなかった。 「『詩織さんへのコメントを見たら、セカンドレイプ的な発言が多く傷ついた。このような言葉を無くすにはどうしたらいいのでしょう?』と言われて。その時から『もし私と同じような性暴力被害者が、あの書き込みを見たら』と考えるようになりました。自分が見なければ良い、という問題ではないと気づいたんです」 伊藤さんがこうしたSNS上での誹謗中傷、攻撃に対して法的措置を取るために具体的に動き出したのは、2020年1月ごろ。いよいよ提訴に踏み切ろうというタイミングの5月に、木村花さんの死を知った。 「ちょうど木村花さんが亡くなる少し前に自分も、『ああ、もうダメかもしれない』と感じてしまったことがあって……。あのニュースはすごくショックだったし、私にとって他人事ではない、と思いました」

リツイートの責任も問いたい

ネット上のセカンドレイプに法的措置を取ることは2019年12月、山口氏との民事訴訟で勝訴した際の記者会見ですでに明らかにしていた。しかし、誰のどんな投稿を訴訟対象とすれば良いのか。 対象者の絞り込みに協力したのが、普段は評論家として活動する荻上チキさんらのチームだった。 荻上さんはまず、プログラマー・エディター・リサーチャーなどによるチームを作った。そしてTwitter、ヤフーコメント、YouTube動画とそのコメント、Naver、まとめサイト、ニュースサイト、個人ブログ、Facebook、トレンドブログ、Yahoo!知恵袋、2ちゃんねる(5ちゃんねる)、はてなブックマーク、Togetter(トゥギャッター)など、ウェブサービスを横断的にチェック。伊藤さんの誹謗中傷をリサーチした。 「伊藤詩織」「I.Shiori」、さらには隠語として使われた「オシリちゃん」「伊●詩織」「尹詩織」など、数十以上のワードを見つけ、問題投稿を収集。特に投稿を繰り返し、その投稿が多くの人に拡散されている「オピニオンリーダー」を突き止めていった 。 対象となった投稿全体数は、70万件を超える膨大な量だった。この中には、伊藤さんを支援するポジティブな内容も含まれるため、そこから内容を精査し、絞り込む。特に問題となる投稿については、「リツイート」「いいね」「シェア」した人も収集したという。 今回提訴するのは、はすみ氏に加え、はすみ氏の投稿を繰り返しシェアしていたユーザー2人も含まれる。 「シェアしたり、いいね!することも誹謗中傷に加担していることになる、その責任はあるんだと、今回示したかったんです」(伊藤さん) さらに今回の分析を活かして、これから他のプラットフォームでの各投稿に対しても情報開示請求を行った上で、同様の法的措置を行っていくと伊藤さんは話す。

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