アイリスオーヤマのテレビは何が凄いのか?
テレビ。10年前の2010年、完全地デジ化になる前年は、液晶テレビの値が下がったこともあり、どのメーカーのテレビも爆発的に売れました。この時の主役は、シャープ、ソニー、東芝、パナソニックなどの日本メーカーでした。
しかし、オリンピックがあるはずだった2020年。もはやテレビで気を吐く日本メーカーはいません。逆に東芝のテレビ事業部を傘下にした中国ハイセンスなどが、新興勢力として日本市場でも目立ち始めました。また、液晶ディスプレイの技術を絶やさないようにと作られたJDIは、新しい技術を発表しているにも関わらず反応が薄く、厳しい状況に置かれています。 そんな中、2019年からテレビ事業に参入したアイリスオーヤマが、今までになかった考え方でテレビを引っ張り始めました。そして2020年の予想もしない方向性、コンセプトの基に、第二世代モデルを世に出しました。 もし、こんな考え方で作られたテレビがあれば、今も日本メーカーはテレビ分野で生き残れた、いや君臨していたかもしれない。そんな可能性が感じられます。今回、テレビのコンセプトと商品のあり方をレポートします。
テレビのコンセプトは、安価なエンターティメント
テレビは、テレビ局から発信される映像情報受信機です。それは常にエンターテイメントを高めることを中心に技術開発してきました。 テレビが発売された後、一番最初の技術革新は「カラー化」。白黒がカラー化されると、見やすくもなったのですが、むしろ放送されているものが、そのまま見られると言う「リアリティ」が高まったとも言えます。 次の技術は「大型化」です。大型のブラン菅を作られるようになった時、全メーカーは大型テレビを売りに出しました。28~32インチ。これも「臨場感」だと言えます。 そして「平面化」です。ブラウン管から液晶テレビに変わりました。テレビが、家電というよりインテリアになりました。また、自家発光型のテレビとしてプラズマテレビがありました。パイオニア、パナソニックが頑張ったプラズマは、実に画質がよかったです。自家発光型の強みは、色の基本の一つ「黒」が綺麗に出せること。「シラっちゃけた黒」のしまらない画質とは一線を画します。しかし、ユーザーが支持したのは液晶テレビでした。理由は、電気代です。そうテレビは「安価な」エンターテイメントであり、逆に言うと、それ以上でないわけです。 その後、地デジ化。「デジタル化」です。いろいろな言い方がありますが、デジタル化の本質は「安価化」「均質化」です。例えば、アナログ技術で高品質化するには、高い精度が必要です。基本、信号を復元できませんから、信号を少しでもロスしない様にする必要があるからです。ところがデジタルは信号ロスを想定した技術です。ロスしても復元できます。これが安いテレビでも、キレイに映る理由です。 そして「均質化」。どこで作っても同じ品質と言うことです。 その時、その時、いろいろな技術を押しはめていますが、商品コンセプトは一貫しています。それは、「安価な」「エンターティメント」家電であることです。お題目のように唱えられている、4K、8Kなどの高画質は「技術」であり、コンセプトはテレビができて以来同じなのです。