わが子の潜在能力を十分に高める、言葉のかけ方 前向きな行動を起こすように促すのがポイント
すでにお話ししましたが、戦争中には子どもは国の宝と言われていました。「産めよ増やせよ」という時代で、大抵一家に4、5人の子どもがいました。8番目に生まれた子どもだから八郎という名前をつけられた人もいました。今とは逆に、子どもの数が多かったのです。 その時代に、母は「私はあなたしか産めないので、あなた1人で4人分頑張るんだよ」と言って、手をついて「お願いします」と頭を下げました。 これは私を育てた魔法の言葉だと思っています。そう言われた私は子どもながらに頑張ろうと思いました。以来、全力投球が習性になり、常に潜在能力を発揮できるような体質になっていったのです。
■「そうだね」は気持ちを込めて これまで何度も「そうだね」と言って、子どもの意見を認めてあげることが大事だと述べました。この「そうだね」という言葉を掛けることは、育脳にとって、とてもよい習慣です。 ただし、大事なことがあります。それは、子どもに「そうだね」というときは、気持ちを込めて最もこころに伝わる言い方をするということです。 子どもの脳に入る言葉を使うときは、「そうだね、すごいね、君」というように、気持ちのこもった言い方に正さないといけません。
これは感謝する場合でも同じです。上司から「よくやってくれた」とほめられたら、やる気が全然違ってくるでしょう。逆に、だめ出しをされたら力が出なくなって、いいアイディアも浮かびません。 言葉には力がありますから、相手をその気にさせようとするときは気持ちのこもった言い方をしなければいけないのです。 また、自己保存の本能に抵触するような言葉を使うことは絶対にやめてください。失敗しても叱ったりせず、自分を守ろうとする自己保存の本能を克服しようとチャレンジした場合は、結果としてうまくいかなくても「よくやったね」「頑張ったね」とほめてあげてください。
失敗することは悪いことではありません。失敗も1つの経験です。それを認めてあげることが大事です。 親が子どもに感謝するという機会はなかなかないかもしれません。どちらかというと、「あなたのために」やっていると思っている親が多いと思います。しかし、これは逆で「ありがとう。あなたのおかげで」と感謝しなくてはいけないのです。 なぜかというと、「あなたのために」と言うと、必ず「あなたのために失敗した」とか「あなたのためにうまくいかなかった」というように失敗した話が出てくるからです。